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しらとりごう
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novelistID. 21379
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ブローディア春

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「石間さん、帰っちゃったね」
「うん。もうおばさんが仕事落ち着いたって」
「カッコいいよね」
「うんまあ」

「カノジョいるのかな、いるよね! ね」
「……。」
「あんなにかっこ良かったら、どうせ付き合っても浮気されまくりかな。ねッ」
「石間そんな奴じゃない」

「ははあ。お兄ちゃん反応薄い。つまんない。テレビ見る」
「……はあ。」

 明日俺は石間とプリクラ撮りに行くって。
 男だけじゃ入れないから、江差のカノジョとその友だちとだって。

 ばれないんだろうか。まずいよな。それ以前に俺女子と話すの苦手なんだけど。

「お兄ちゃん」
「なに」
「顔ニヤついててきもい……」
「じゃあ見るなよ」

 石間かっこいいよな。
 石間って変な顔してもかっこいいよな。

「フケツ!はやく行って!」
「不潔って」

 部屋に入って扉を閉める。うん、石間がいた気配が残ってる部屋。

「俺の顔ってフケツか」

 明日は母さんの洗顔と化粧水拝借しよう。
 ああ、今年はたくさんいろんな石間を見たいな。
 だから俺も見せられる。

 待ち合わせに遅れても連絡手段がないから、今日は早く寝るとしよう。何日も石間が抱えて眠った枕で。

 俺だって男だ……
 胸一杯に石間の香りを吸い込んで、いい気分で布団の中に潜り込んだ。


(おわり)


作品名:ブローディア春 作家名:しらとりごう