ブローディア春
「石間さん、帰っちゃったね」
「うん。もうおばさんが仕事落ち着いたって」
「カッコいいよね」
「うんまあ」
「カノジョいるのかな、いるよね! ね」
「……。」
「あんなにかっこ良かったら、どうせ付き合っても浮気されまくりかな。ねッ」
「石間そんな奴じゃない」
「ははあ。お兄ちゃん反応薄い。つまんない。テレビ見る」
「……はあ。」
明日俺は石間とプリクラ撮りに行くって。
男だけじゃ入れないから、江差のカノジョとその友だちとだって。
ばれないんだろうか。まずいよな。それ以前に俺女子と話すの苦手なんだけど。
「お兄ちゃん」
「なに」
「顔ニヤついててきもい……」
「じゃあ見るなよ」
石間かっこいいよな。
石間って変な顔してもかっこいいよな。
「フケツ!はやく行って!」
「不潔って」
部屋に入って扉を閉める。うん、石間がいた気配が残ってる部屋。
「俺の顔ってフケツか」
明日は母さんの洗顔と化粧水拝借しよう。
ああ、今年はたくさんいろんな石間を見たいな。
だから俺も見せられる。
待ち合わせに遅れても連絡手段がないから、今日は早く寝るとしよう。何日も石間が抱えて眠った枕で。
俺だって男だ……
胸一杯に石間の香りを吸い込んで、いい気分で布団の中に潜り込んだ。
(おわり)