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しらとりごう
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novelistID. 21379
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ブローディア春

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気持ちわるい





 妹が部屋にいない時に、こっそり入って中の姿見を使わせてもらう。
 玄関にあったものが奪われて久しい。お年頃ねと笑う母さんと父さんはのほほんとしているが、俺としては困るんだ。鏡とか人前で堂々と、ジッとなんて見てらんないだろ。

「洗面台のは……」

 毎度試してみるけど、洗面台の鏡は小さい。しかもスペース狭いから、無理やり下がって全身を映すということができない…

「かっこよくは、ないよな」

 決心して妹の部屋に忍び込んでもこれだ。見て楽しくないんだよな。これを少しでも楽しみにできないと、石間に申し訳が無い気がしている。

「木野」
「うわっ石間」

「悪い、邪魔して」
「また母さんが勝手に上げたのか」

「うん」
「そうか」

 なんとなく石間がワクワクしているのがわかる。女の子の部屋に入ったというのにやけに馴染んでいる長身の男。
 ……なれてる。

「なに見てんの」
「木野を」

「部屋いこう」
「え、また女装してくれんじゃないの」

「石間きもちわるいぞ」
「まあ知ってるけど」

 最近妹にきもちわるいと言われているし、その妹の部屋に入って自分を眺めているのは明らかに気持ちわるいわけで。
 石間も共犯にしておくことにした。


(おわり)


作品名:ブローディア春 作家名:しらとりごう