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あゆり。

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1日中、大学に居て結局やりたいこともやれずじまいで家に帰ってきてまた日常の繰り返し…

と思っていた。

いつもどおり…
兄のどたばた音で目が覚めて。ご飯を作り。着替えて。早めにバスに乗って。学校に着いて。教室の鍵を取りに行って。教室を開けて席に着いて。読書タイム…だったはずが。

鍵は先生曰く、もう取りに行った奴がいる、ということ。
変な話ね。私以外に早く学校に来て、鍵を開ける人間はほとんどいない。
朝の部活練習というものがあっても、大体は部室の方に荷物を置いて練習にいくのでまず教室に朝一で来る人はいない。
それに教室の鍵を取りに行く際、職員室に行くのだがその時閉まっていれば教室は開放されているから取りに行く必要がない。
逆を言えば職員室が開いていれば鍵を取りに行かなくてはいけないということ。

久しぶりの感覚で変な感じだ。
鍵を取りに行かないでそのまま教室に行くのは。

教室の前に着いた所で静かに扉を開けるが誰もいなかった。
ただ春の朝の空気の冷たさが全開の窓によって教室に入り込んでいた。
先に来た人が空気の入れ替えをしたのだろうと、鞄を自分の机に置いて窓を閉める。
後は三分の一程度開けておけば寒いということもないだろう。今日は天気がいいから窓際族は恐らく5限目はおねんねタイムだ。

「あれ」

ふと隣の席を見ると何もなかった筈の場所にはちゃんと机と椅子があって、鞄も、あった。

「…まあ、いいか」

そうして私は本の世界に旅立つ…現実の世界に飛び込むように。


作品名:あゆり。 作家名:むいこ