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あゆり。

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兄の大学は、無駄に広いが何回かアホな兄がアホな行為を繰り返し、私が物を届けに行くので迷わず兄のいる研究室に行くことができた。
いくら兄の妹だからと言って、礼儀をわきまえない訳にもいかない。親しき仲にも礼儀あり。研究室のドアをノックし、一声かけてから室内に入る。
「おや、アリス。俺の所に会いに来てくれたんだね?」
「そんな訳ないでしょ。兄さんは何処」
私をアリスと呼ぶ彼は、高橋拓海さん。アホな兄、白兎の同級生もとい悪友だ。
何故か私に好意を持っていている非日常を求める変人だ。会った時から兄の友人ということで、ろくな奴ではないと思っていたが実に酷い変態だった。
初めて会った時、私はまだ幼くてお姫様とかに憧れるような年齢で絵本を読んでた。
そんな時拓海さんは。
『ねえ知ってる?シンデレラの継母達は足を切ってまでガラスの靴を履いて、最後は目潰されちゃうんだよ』
と言葉が無かったらいい笑顔で言いのけ、幼い私を大泣きさせ、兄に散々怒られたっていう第一印象を与えてくれた。
今はそういう憧れる、という年齢じゃないからそうでもないが第一印象は変わらず、まあ変人で雑学豊富な酷い変態っていう印象である。

「おい、何をふざけている拓海。早く終わらせろこのクズ」
「君のお姫様がお呼びだよーこのカス」
なんていう罵り合い。日常茶飯事だからいいけれど。
「はい兄さん、忘れ物」
「あー…」
紙袋を受け取ると兄は中のレポートを確認した。1人納得したように、紙袋に入れるとそこら辺に投げ捨てた。
レポートは紙袋から出て最初から汚かった研究室が更に汚くなった。掃除しろよ。

「…これ、必要ないから置いてきたんだが」
「…兄さん、1回死んだ方が頭良くなると思うよ」
「だが断る」

作品名:あゆり。 作家名:むいこ