あゆり。
担任の先生がやって来て、本の世界から帰ってきた私は朝の連絡を聞くが私には関係の無い事だったのですぐに頭から消す。
今日のスケジュールは何だっけと思い出せば今日は私の学年には関係のない行事があるだけどすぐに解散だった。
「そうだ姫月」
「はい」
「お前去年と同じ図書委員な。委員長だからよろしく」
学年で一クラス、一番上の学年だし去年から1人だから委員長になることはわかっていた。
だからそんな解りきった事を何で言うかな…面倒なのに、ね。
「後、隣よろしくな」
「…?」
先生がそう私の隣の席をにこやかに指差すもんだから思わず振り向いてしまった。
…確かに私の左の席には橙色のサイドテール。先が可愛く綺麗にカールしていて、ふわふわしていた。
ふわっと横の尻尾が動いたかと思うと緑の大きな目がぱっちりと見開いてにっこり笑う。
程よく焼けた顔は頬が赤く染まっていて、多分私が男だったら惚れてる。多分。
口も笑っていて、この人は心の底から笑っているってのがわかる。
嗚呼、こんなに笑ってるのに、この子も訳あり、か。
「若葉百合。昨日お前が休んでる間に来た子だ。一応わかんない事あるだろうから、教えてやってくれ」
「…拒否権は当然ないですよね」
「うん、ない。という訳で若葉ー。隣は姫月ありすだ。2人とも仲良くなー」
先生、無視か。
「よろしく、ね?」
「…よろしく…」
若葉百合。
ふんわりとした笑顔と髪型、程よく焼けた肌に細くそれなりの体つきの可愛い女の子。
姫月ありす。
冷めたような表情とさらっとした髪型、陶器のように白く美しい体つきの美しい女の子。
この2人が出会ったのは、四月の春、暖かな陽気が流れ込む始まりの日だった。