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舞うが如く 第五章 16~18

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 鶴ヶ城の膝元ともいえる融通寺町や西名子屋町などの城西地区一帯は
政府軍の手によって、すでにそのすべてが焼き払われています。
ここを支配していたのは、軽装備の長州や大垣、備前の藩兵たちでした。
先陣を切る会津の別撰隊は、銃を放ち、剣を振るって
一気に敵陣へと雪崩(なだれ)こみました。
予期せぬ急襲を受けた政府軍の兵士たちは、不意を突かれて散り散りとなり
そのおおくが、近くの長命寺境内へと逃げ込みました。


 無量寿山・長命寺は由緒のある寺院です。
深い濠と土塀とを、三方に巡らした堅固な作りでも知られています。
さらに北側には大庭園がひろがっていて、老樹が鬱蒼と繁り、
築山が連なっていて、防備には適した地形そのもののといえる寺院でした。
政府軍はこれらを利用して、態勢を立て直しつつ
ひたすら防戦につとめはじめました。



 これに対した会津軍は、右は赤井町裏の西光寺や、
左は融通寺(ゆづうじ)町の城安寺や、
手明(てあき)町の法泉寺に展開をしました。
墓石の間を前進しながら、激しい砲戦を繰り返し、
三方面から長命寺に突入して遂にこれも占領をしてしまいました。


 だがそれもつかの間のことで、
まず、谷守部率いる土佐の援軍たちがここに駈けつけてきました。
さらに加えて、急を聞きつけた伴権太夫や、大石弥太郎が率いる銃砲隊が
野戦用の大砲までも充分に揃えて、援軍のために集結をしてきます。



 会津兵はこれを、
桂林寺町や当麻(たいま)町に前線をおいて迎撃をしました。
しかし火器の装備に勝る、土佐兵の攻撃は猛烈を極めました。
絶え間なく打ち込まれた榴散弾のために、会津兵は、
徐々に後退を余儀なくされてしまいます。


 一方、長命寺の山門前で守備にあたった
琴と作蔵も、まったく身動きがとれない状態のままでした。
激しい連発銃の射撃と共に、新式大砲の砲弾も次々と打ち込まれてきました。
その砲弾の破壊力はまことに凄まじく、
一撃にして土塀を砕き貫ぬいてしまいます。
さらに着弾するとともに、内部に組み込みこまれた細かい鉄の破片が、
あたり一面に無数に飛び散りました。



 「野戦用の、新型砲弾でありまする。
 従来よりも、広範囲に殺傷能力がありますので、
 大変に危険な物といえます。
 頭を、低く下げていてください。」



 八重がそう言った瞬間に、
ふたたび炸裂音が轟きました。