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舞うが如く 第五章 13~15

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 城外の遠隔地に避難した城下の者たちは、
この鐘の音を聴くたびに、城の無事なる事を知り、
城外に戦う兵士たちも、皆この鐘の音に勇気付けられていました。

 しかし籠城が始まってから、二十三日目のことでした。
九月十五日の西軍の総攻撃の最中、利三郎が遂に流れ弾に倒れてしまいます。
鐘を撞く任はただちに、上野磯次郎(一石五斗二人扶持)がひき継ぎましたが、
これもまた翌十六日には被弾をして、壮烈な死を遂げてしまいました。
享年四十二歳の若さです。



 しかしひるむことなく、面木三平や、
小野吉右衛門らが家老・山川大蔵に請けあって、その後を継ぎ、
この後も営々と鐘は、時を報じ続けることになるのです。
鐘はこの後の会津城の開城に至るまで、
一度たりとも絶えることはありませんでした。



 こののち、政府軍の兵士たちも根気負けをして、
この鐘を、ついには重宝がるようになりました。
セコンド(懐中時計)を持った者たちは、
鐘の音で時間を合わせようになりました。
その他の者たちも、この鐘の音によって時刻を知るというありさまになった
という逸話などが残されました。



 籠城戦で若松の城内に入った婦女子らは
およそ、六百名余りであったといわれています。



 連日のように、
城内には大量の砲弾や、銃弾が撃ち込まれました。
婦人らは、食糧の炊出しから傷病兵の手当てや看護をはじめ、
城内に撃ち込まれた砲丸の処理や、火災の消火なども一手にこなしながら、
ありと、あらゆる労役に従事し続けました。



 八重が琴のところへやってきました。