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舞うが如く 第五章 13~15

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 その頃、政府軍は追手口からの攻撃に攻めあぐねていました。
やがて搦手(からめて)に目をつけると、城南に迂回してから、
天神橋畔からの攻撃を仕掛けることになりました。
 この報に接した守備隊は
八~九十名の決死隊を募って南門での迎撃を整えます。
小室金五郎左衛門がこれを指揮して、果敢に突撃を繰り返した結果
ついに首尾よく政府軍を撃退させてしまいます。



 同じ頃、西出丸の讃岐門にも敵が押し寄せてきました。
今にも破られそうになったというので、城主の松平容保が喜智に命じて、
戦況の確認に走らせました。
喜智は婦人十人ばかりを引き連れて、薙刀を小脇にかかえて出撃をします。
味方が苦戦してしている陣中を一気に駆け抜けると
婦人達は敵陣の左翼をめがけて激しく斬り込んでいきました。
そしてこれもまた、ものの見事に撃退をしてしまいます。



 籠城中の喜智は、山川大蔵の母・唐衣(からころも)と共に
城内の女子の総取締りを任じました。
多くの女子たちを指揮しながら、自らも死者の埋葬や傷者の介抱、
食糧の炊出し、弾丸の製造などにも努めます。



 しかし戦況が振るわず、埒が明かないと見るや
遂に喜智は山本八重とともに、火器の操銃法を知る婦人数名を集めると、
一夜潜行してから、無断で会津城外へ出撃をしてしまいます。
そして二ノ丁に屯していた敵兵を襲撃して、
これらを撃破をしてしまいます。
敵兵が狼狽して逃走したのちの遺棄品などを獲得して、
意気高らかに城内へ凱旋を果たしました。



 ところがこの戦いぶりが、
城内に知れわたると、予期せぬ大問題になってしまいます。
万が一にでも、婦女子の屍体を敵に見せるような事にでもなれば、
会津の城内では兵が尽きたと思われて
、かえって政府軍をあおることにもなりかねないと、
強く戒められてしまいました。
これ以降、婦女子隊たちの出撃は、固く禁じられてしまいました。