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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回】きみの て

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目こそ指徳の手で見えないがその頬を伝ったのは目からのよだれ…もとい涙だということ
「…逃げなくていいのかい? 鬼は待ってはくれないよ?」
ゆっくりと指徳がかざしていた手をどけるとそこには目を瞑ったいつもと変わらない制多迦がいた
「…制多迦様…」
鳥倶婆迦が制多迦を呼ぶとぴくっと制多迦の肩が動いた
「追いかけっこの第二回戦だね」
楽しそうに笑う指徳の手の上には真っ赤に色を変えた玉
「…おはよう…制多迦」
玉から聞こえた声に制多迦がゆっくりと目を開けた
「…せい…」
「矜羯羅…」
矜羯羅を見据えるその目は赤くそして話し方はあの独特のものではなく
「久しぶりだね制多迦」
「…その名でコイツを呼ばないでよ…コイツは制多迦じゃない」
矜羯羅が掴んでいた制多迦(?)の手を振り払った
「僕は僕だよ矜羯羅」
「僕の知っている制多迦はお前じゃない」
赤い目の制多迦を睨みながら矜羯羅が言った
「何を言っている…? コレが本来の制多迦だろう?」
玉から声がした
「殺めること破壊することを躊躇わず…【空】で最強の者」
指徳が玉の後に続いて言う
「それが制多迦…」
指徳が制多迦(?)の体に腕を回した
「制多迦様…」
鳥倶婆迦が小さな声で制多迦を呼ぶ
「アレはもう制多迦じゃないよ…鳥倶婆迦…」
矜羯羅が言った
「矜羯羅が反した…制多迦」
玉が言うと制多迦が頷いた
「上の命は絶対…」
左足の小さな鞄の様なものから制多迦(?)が何かを取り出した
「行くんだ慧光」