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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回】きみの て

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「…何さ」
慧光の頭から離れた制多迦の手が掴んだのは矜羯羅の手
「離してよ」
矜羯羅がブンブンと捕まれた手を振るが制多迦は手を離さなかった
「せいた…」
「…ま離すと…もう掴めない気がして」
制多迦の言葉に矜羯羅がぴたっと振り解こうとしていた手を止めた
「…何言ってるのさ…」
一呼吸おいて矜羯羅が空いている手で制多迦の手を離そうとする
「…つもそうだったよね矜羯羅はいつも僕を守ってくれた」
「何…」
制多迦の指を一本一本剥がしていた矜羯羅に制多迦が言った
「…りがとう…」
剥がされかけていた手にもう片方の手を添えて制多迦が矜羯羅の手を包んだ
「…り返して何度も繰り返したのにいつも守られてた」
包んだ矜羯羅の手を額に当てて制多迦が目を閉じる
「…つも側にいてくれた…僕も今度は守りたい」

「泣けるじゃない?」
制多迦の言葉の後に聞こえた女性の声とも取れる声にハッとして顔を上げた制多迦と矜羯羅
「指徳…!!」
慧光が声を上げ向けた視線の先には甲冑とも見えるしかしやはり摩訶不思議な服装をした女性
「でもね制多迦? …それは無理なんだよ? わかるね」
「制多迦! 行け!!」
矜羯羅が手を振り解こうと思いっきり制多迦を突き飛ばそうとした
「離しなよッ!」
しかし制多迦は矜羯羅の手を離さない
「鳥倶婆迦!! 慧光!」
矜羯羅が鳥倶婆迦と慧光を呼んだ
「させないよ?」
口紅を塗った赤い指徳の唇が弧を描く
「離しなよ! このままじゃまた…」
いつもになく声を荒げ矜羯羅が制多迦の手を振り解こうとする
「…やだよ…」
制多迦が静かに言った
「制多迦ッ!!」
矜羯羅がほぼ怒鳴り声に近い声の大きさで言う
「制多迦様! 矜羯羅様ッ!!」
慧光が叫ぶ
「…ッ」
唇を噛んだ矜羯羅が走り出した
「おやおや…追いかけっこ?」
指徳が面白そうに笑った
「指徳…」
玉から聞こえる声が指徳を呼ぶ
「わかっております」
玉に向かって膝まずいた指徳の手に玉が乗った
「上の思いのままに」