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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回】きみの て

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「もう11時過ぎてるのに明かりがついてるから何事かと思ったら…」
上着を手に和室に入ってきた母ハルミが多少驚いた声で言う
「母さん…俺今ほど母さんが女神のように見えたことはねぇわ…;」
出すもんだしてすっきりしたのか京助の腕の中ですやすやと眠る赤ん坊
「お…かえりだっちゃ~…;」
まだまだ遊べるぜというカンジに笑う赤ん坊を抱えつつ緊那羅が疲れきった顔をしている
「前が見えんではないかッ!たわけッ!!!;」
迦楼羅は前髪を頭にぐるぐる巻かれて目隠し状態にされている
「おかえりなさいハルミママさん」
乾闥婆が余裕の表情でハルミに挨拶した
「どうしたのこの赤ちゃん…」
緊那羅の抱いていた赤ん坊を覗き込んで母ハルミが聞く
「…言っていいもん?;」
京助が迦楼羅と乾闥婆を見た
「なぁに? 隠し事? 内緒?」
母ハルミが京助を見る
「…話すしかないでしょう…」
乾闥婆が言う
「…フォロー頼むぞ?;」
京助が乾闥婆に言った
「母さん」
京助が覚悟を決めて口を開くと自分が抱いていた赤ん坊を指差して一言
「パパでちゅよー」
「誰の」
京助が言うとすかさず突っ込む母ハルミ
「俺の」
それに対して速攻で京助が返すと母ハルミの目が点になった
「し・か・も四人います」
京助がもうどうにでもなれというやけっぱち全開で言う
「全部俺のパパン…あなたの旦那です」
「だぁぷー」
京助が言うとまるで返事をしているかのように緊那羅に抱かれている赤ん坊が声を上げる
「…ハルミママさん?;」
動かない母ハルミに緊那羅が声をかけた
「…後は頼んだぞ?; 俺はもうたぶん手に負えないからな;」
京助が乾闥婆と迦楼羅に手を振ると乾闥婆が溜息をついた