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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回】きみの て

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「いだだだだだだだだだだッ!!;」
乾闥婆が開けた襖の向こうから聞こえた迦楼羅の声
「きゃっきゃっ!!」
それに続いて聞こえたのは幼い笑い声
「ギャー!; 何か匂う匂うッ!!;」
バタバタという足音と京助の声
「あっ; こらそっちいっちゃ駄目だっちゃッ!!;」
空けている隙間から見えたのは慌てて何かを追いかけていく緊那羅
「…何やってるんですか…」
乾闥婆が呆れたように言うと途中まで開けていた襖を全開にすると矜羯羅の目が点になった
そこに広がっていた光景はまるで託児所
迦楼羅の前髪を引っ張って笑う赤ん坊の隣では違う赤ん坊を抱き上げておたおたしている京助、そして暴れるまた別の赤ん坊を抱き上げて赤ん坊パンチを連打されている緊那羅
そして
「…制多迦がどうかしましたか?」
乾闥婆が目を点にしたままの矜羯羅を振り返って聞く
「…はよ」
額に大きな絆創膏を貼り腕には眠る赤ん坊を抱いた制多迦が笑顔を矜羯羅に向けた
「…せ…」
矜羯羅が一言言葉を発した
「夜行性なのかこいつ等はッ!!; うぁああ…なんかすっきりした顔してるしッ;」
京助が抱き上げている赤ん坊がやたら開放感に満ち満ちた顔をしている
「代わりますよ」
乾闥婆が制多迦から赤ん坊を受け取った
「…りがと」
赤ん坊を手渡した制多迦が立ち上がって矜羯羅のいる部屋のほうに歩きそして襖を閉めた
襖の向こうから聞こえるてんやわんやの声とは反対の沈黙

「…制多迦なの?」
矜羯羅が小さく聞くと制多迦がこくんと頷いた
「…のね…」
「おかえり…」
何か言おうとした制多迦の言葉を矜羯羅の【おかえり】が止めると制多迦がきょとんとした顔を上げ見たものは穏やかに微笑んだ矜羯羅の顔
「…んがら…僕は…」
「謝ったら叩くよ」
その笑顔のまま矜羯羅が言う
「…も…僕は…」
制多迦がブンブン首を振った
「この怪我は制多迦がつけたものじゃない…だから制多迦が謝る必要なんかないんだよ…」
矜羯羅が自分の肩を触った
「泣いても叩くからね」
そしえ付け加えた矜羯羅に制多迦が抱きつく
「…痛いんだけど」
矜羯羅がボソッと言った