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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回】きみの て

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「その言葉今寝ているこの子達が起きた時にもう一度言って見たらどうです? 必死で貴方を助けたこの子達の目の前で」
乾闥婆が言う
「貴方を助けて何かになるから助けたんじゃないんですか?」
乾闥婆の言葉に矜羯羅が少し驚いたような顔で乾闥婆を見た
「貴方には貴方の必要性がなくともこの子達には貴方の必要性があるから目が腫れるまで泣くこともできると思いますけど」
そう言われて見た慧光のまぶたは赤く腫れていた
「どんな理由でも…誰でも誰かに必要とされているんです…それがいい感情ではなくても」
乾闥婆の顔が一瞬曇る
「…それは自分の事…言っているの?」
矜羯羅が乾闥婆に聞く
「誰かを憎むことによってそれを生きる糧としている人だっています…憎まれているということが僕を…生かしている…」
乾闥婆の言葉が止まった
「君はまだ…あの時のこと…」
「忘れられると思いますか?」
矜羯羅が聞こうとするとその言葉を乾闥婆が強い口調で割った
「…僕は迦楼羅の罪なんです…この先もずっと迦楼羅の罪ということが僕を生かすんです」
乾闥婆がにっこりと笑う
「罪としてでも…迦楼羅は僕を必要としてくれている…だから僕は迦楼羅の隣にいるんです」
乾闥婆の言葉を聞きながら矜羯羅が慧光の頭をゆっくりと撫でる
「…あいかわらず…だね姿が変わってもそのまま」
矜羯羅が静かに言う
「僕は今誰でもない乾闥婆です」
乾闥婆が強く言った
「…そうだったね…」
矜羯羅がふっと笑った
「おとなしく寝ていることです」
乾闥婆が立ち上がり出口ではない方向に足を進める
「ねぇ…」
矜羯羅が乾闥婆を呼び止めた
「なんです?」
乾闥婆が襖を開けながら聞き返す
「制多迦は…」