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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回】きみの て

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鼻についたほのかに香る消毒液の匂いと口に残る微妙な味に矜羯羅がゆっくりまぶたを上げた
「…重い…」
腹の辺りになんだか重みを感じて頭を起こすと額に乗せられていたタオルが落ちた
「怪我人はおとなしく寝ていてください」
トゲの効いた一言に矜羯羅がそのままその声の方向に目をやる
「…け…」
ソコにいたのは笑顔は笑顔だがやはり何かが怖い笑顔をした乾闥婆
「まったく…どうして僕が…」
ブツブツ言いなが乾闥婆が矜羯羅の額から落ちたタオルを拾い側にあった桶の中に入れた
「数箇所折れていましたけどソーマを飲ませましたから多少痛むでしょうけどしばらくすれば完治します…おとなしく寝ていればの話ですけど」
にっこり笑いながらもタオルを絞る乾闥婆の手にはコレでもかという力が込められているのが見てわかる
「…ここは…京助の家…?」
自分に掛けられた軽めの羽根布団と毛布を見てその後部屋を見渡した矜羯羅が呟く様に聞いた
「僕の話は無視ですか?」
スペンっと乾闥婆が絞ったタオルを矜羯羅の額に勢いよく押し当てるとそのまま矜羯羅の頭を無理矢理枕につけた
「どうして君が…」
目をふさいでいたそのタオルを少し持ち上げて矜羯羅が聞くと睨むように乾闥婆が矜羯羅(こんがら)を見た
「…そこで眠っている方達に泣きつかれたんです」
【そこ】と乾闥婆が顎でくぃっと指した方向を矜羯羅が見ようとまた体を起こす
「…慧光…?」
自分の腹辺りで寝息を立てていたのは慧光
「そっちにもいます」
乾闥婆がソッチと指差した方向を矜羯羅がまた見る
「鳥倶婆迦…悠助…慧喜…」
壁にもたれかかって寝ている慧喜の膝枕で眠るのは悠助、その悠助の尻部分に頭をつけてたぶん寝ているのは鳥倶婆迦
「さっきまで京助や緊那羅もいたんですけど追い出しました…一応貴方は怪我人ですからね」
乾闥婆が【一応怪我人】部分を強調して言う
「何があったのか聞く前に泣きながら助けてくれと連呼されて…」
溜息をつきながら乾闥婆が開いていた救急箱の蓋を閉めた
「断ったらまるで僕が悪役じゃないですか…何も知らないで悪役呼ばわりされるの僕だって嫌ですから」
にっこりと笑顔で乾闥婆が言った
「…僕なんか助けて…なんになるんだろうね…」
矜羯羅がボソッと言った
「僕は…」