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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回】きみの て

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「ごめんね…制多迦…」
制多迦の肩に頭をつけた矜羯羅が小さく言った
「結局僕は…」
矜羯羅の前髪の一部が赤く染まり頬を赤い血が伝う
「……」
制多迦の肩からゆっくりズルズルと矜羯羅の頭がずり落ちていくのを制多迦はただ黙って見ていた
「上の命は絶対…それに反した矜羯羅は…」
床にうつ伏せに倒れた状態の矜羯羅に目をやると制多迦が再び棒を振り上げてそして止まった
「…何…」
目の前がぼやっとしたかと思うと制多迦が自分の頬を何かが伝うのを感じた
「どうして…」
振り上げていた棒を握る手から力が抜けカランと音を立てて棒が床に落ちた
「何で…コレは…僕が泣く…? まさか…僕は…」
制多迦が自分の流した涙に驚く
「矜羯羅様ッ!!!!」
流れ止まらぬ涙を拭っていた制多迦が聞こえた声にハッとして顔を向けると壁にひびが入り

ドォン!!

という音を立てて光が広がった
「こ…矜羯羅さまぁッ!!!!」
青い顔をした慧光が倒れている矜羯羅の元に駆け寄るとその後を鳥倶婆迦も追う
「…竜…」
制多迦が最後に現れた竜を睨んだ
「驚いたな…泣いているのか制多迦…」
「うるさいよ…僕にもわからない」
竜を睨みつつも止まることのない涙を拭いながら制多迦が言う
「矜羯羅様…ッ」
矜羯羅を抱き起こした慧光が意識のない矜羯羅を見て今にも泣き出しそうな顔をした
「泣いてる暇はないよ慧光」
そんな慧光に鳥倶婆迦が言う
「泣くのは矜羯羅様を…ううん矜羯羅様と制多迦様を助けてからだよ」
鳥倶婆迦が言うとズビッと鼻を啜った慧光が頷いた