【第十一回】きみの て
という音と光りに京助が目を瞑った
「…何…;」
目を開けた京助が緊那羅を見るとカメラを手にした緊那羅がいた
「写真…撮ったんだっちゃ」
緊那羅が言う
「写真撮れば悠助もハルミママさんも竜がいたってわかるっちゃ…だから写真撮ったっちゃ」
ぽかんとしている竜と京助に緊那羅が言った
「悠助が起きたら見せるんだっちゃ…竜…お父さんに肩車してもらったんだって」
緊那羅がカメラをしまった
「…お前は…」
京助が呆れたような笑を緊那羅に向けた
「ハッハッハ」
竜が笑う
「いや…なんだ…ありがとな緊那羅」
笑いながら竜が緊那羅にお礼を言った
「…ごめんナリ…」
慧光が小さく言った言葉に京助が慧光を見た
「私…自分の大切な人を助けたいから…でも…」
目に涙をためた慧光が京助を見た
「でも…それはお前の大切な…」
「…それ以上は言わないこった」
慧光(えこう)の言葉を京助が止める
「コイツが助けるっていってるんだから…誰のせいでもねぇよ」
京助がくぃっと親指を竜に向けた
「父親にコイツかお前は」
竜が京助に突っ込む
「…京助…」
緊那羅が京助に声をかけた
「時間ねぇんじゃねぇの?」
竜を見ないで京助が言う
「…そうだな…」
竜が悠助を肩から下ろして抱きかかえた
「慧光と鳥倶婆迦…お前達の大切な人達を助けるのに手を貸してくれるか?」
竜が言うと鳥倶婆迦と慧光が頷く
「…京助」
少し間を開けて竜が京助に声をかける
「悠助…落すなよ?」
お姫様抱っこ状態の悠助を京助の前に差し出すと京助が無言で悠助を受け取った
「主…」
竜を呼んだゼンゴの頭を竜がクシャクシャ撫でる
「また…頼むな?」
竜が言うとゼンゴが首が吹っ飛ぶんじゃないかというくらいの勢いで何度も首を縦に振って頷く
「…京助」
ポフっと京助の頭に竜が手を置いた
作品名:【第十一回】きみの て 作家名:島原あゆむ