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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回】きみの て

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「竜!!」
境内の御神木の側に立っていた竜が緊那羅の声に振り向いた
「また戻ってくるっちゃよね?」
緊那羅が聞くと竜がゆっくりと空を見上げた
「戻って…きたいね…ここは俺が一番好きな場所だからな」
まだ肌寒い夜風を体に感じながら竜が言った
「守りたいものが沢山有る場所だ」
悪戯っぽく竜が笑った
「貴方は戻ってこなくちゃいけないんだっちゃ…貴方を待ってる人がいるんだっちゃ…だから…」
緊那羅が少し白い息を混ざしながら言うのを聞きながら竜が右手を上げた
「主…」
ゼンゴが竜を見上げる
「開けるぞ」
竜が親指を中に折り込んだ状態で掌を宙に翳した



ぼんやり見えた見慣れた天井がこれまた見たこと有る三人の顔でさえぎられた
「お、気づいたか」
中島が京助の鼻をつまんだ
「…俺…」
中島の手をつねって外すと京助が起き上がり部屋の中を見渡す
「…悠?」
そして慧喜の腕の中で眠っているような悠助を見てそのあと少し考え込んでハッとして顔を上げ立ち上がってグラついた
「っとおぅ!!; しっかりー!;」
倒れそうになった京助を南と坂田が支えた
「手…」
「手?」
支えられたまま京助が自分の手を見た
「アイツの手いきなりでかくなって…すげぇ…懐かしい感じがしたんだ…」
京助が見ていた手を握ってまた立ち上がった
「そりゃ…お前…」
坂田が言いかけて口を噤んだ
「…見て…ないのか?」
中島が京助に聞く
「…ドコ…いったんだ?」
京助が聞き返してきた
「外…って京助!!;」
南が言うや否や京助が駆け出した
が一旦部屋から出てまた戻ってくると慧喜に抱えられていた悠助をぶんどって抱きかかえるとまた茶の間から出て行った