【第十一回】きみの て
「…さぁて…」
一本角の子供が大きく伸びをするとその周りに角の子供達が集まった
「扉を閉じてるのは…矜羯羅だな」
三本角の子供が言うと鳥倶婆迦が頷いた
「開けられるナリ…?」
不安な顔で慧光が聞く
「開けて矜羯羅様助けられる力残るの?」
鳥倶婆迦も不安そうな声で聞いた
「扉は私が…」
「君の役目は?」
言った緊那羅に四本角の子供が言った
「君の力は今使うべきじゃない…そうだろう?」
二本角の子供が言う
「君達も…だ」
続けていったニ本角の子供が茶の間にいる全員を見渡した
「京助、悠助」
いきなり名前を呼ばれた京助と悠助が驚いた顔を上げた
「おいで」
三本角の子供が手招きした
「栄野兄弟ご指名はいりマァ~ス」
南が立ち上がった京助の尻をペンッと叩きながら言う
「…父親を見下ろすな」
「しゃぁねぇだろがッ!;」
自分たちより背の高い京助に一本角の子供が言った
「本当に大きくなったな二人共」
四本角の子供が京助の手を取った
「あの頃と逆の大きさだ」
京助の手を握った四本角の子供の手に手を重ねたニ本角の子供が笑う
「主…」
ゼンゴが切なそうな顔を四人の子供に向ける
「悠助も…今の俺と同じくらいの大きさだ」
三本角の子供が悠助の手を取った
「指しか握れなかったのにな…」
三本角の子供の手に一本角の子供が手を重ねる
「…ごめんな」
一本角の子供とニ本角の子供が手を繋いだ瞬間聞こえたのは若い男性の声
「お…」
何か言い始めようとした悠助の目の前が光に包まれた
「ゴジラ再び…」
京助と悠助の背から生えた羽根を見て坂田が言う
「何が一体…;」
そんなに強い光りではないのにぼやっとしていてあまり見えなく何がわからない現状に中島が言う
「お…とうさん…」
霧の様な光りの中で悠助が小さく呟くと頬を撫でた大きな手
「僕ね…」
ゆっくりと悠助のまぶたが閉じた
作品名:【第十一回】きみの て 作家名:島原あゆむ