【第十一回】きみの て
ズダ---------------------------------------------ン!!
「おぅわッ!!;」
「だ----------------ッ!!;」
「うわっ!!;」
いきなり倒れてきた茶の間の戸 (襖)に近くにいた緊那羅と慧光そして坂田が声を上げた
「一体いつからお前ン家の襖は倒して入ることになったんだ?」
中島が京助に聞く
「知るか; …ってか…お前等なぁ;」
倒れた襖の上にうつ伏せになっていたゼンゴに京助が声をかけた
「勢いつきすぎたんだやな;」
いやぁというカンジに頭を掻きつつゼンが起き上がる
「どんだけ激しい勢いですかい;」
京助が口の端をあげる
「…で」
南が【で】と言いながら襖のなくなった戸口を見た
「あの子達何?」
南の言葉に顔を戸口に向けた一同が目にしたのは黙って部屋の中を見ている4人の見たことのないお子様達
「…誰?」
悠助が声をかけるとそのうちの一人…頭に三本角の生えた大きな眼をした子供が悠助を見た
「…あ--------------------------------------------------------!!!!!」
そして大声を上げる
「お前もしかして悠助か?」
別の子供…今度は頭に一本角の生えたいかにもやんちゃそうな子供が悠助に近付いた
「う…ん」
悠助が戸惑いながら返事をすると慧喜がその一本角の子供を睨みつつ悠助をかくまうように抱きしめた
「じゃぁ京助は…」
「コイツ」
「ぅおい;」
また別の子供今度は頭に二本角を生やした目つきの悪い子供が聞くと中島が京助の腕を持って教える
「ハルミソックリになってきたな」
最後の一人…前髪で目が見えない四本角を生やした子供が言う
「ハルミ…って…」
緊那羅が四本角の子供の言葉に反応して言った
「誰だよお前達ッ!」
慧喜が怒鳴る
「主なんだやな」
ゼンゴがはもる
「ほー…主かぁ~…」
坂田が頷く
「主?」
鳥倶婆迦が聞く
「そうなんだやな」
ゼンが答えた
「じゃぁ竜なの?」
鳥倶婆迦がまた聞く
「そうなんだやな」
ゴが答えた
「へ~竜ねぇ…」
中島が鼻くそをほじりながらティッシュを取った
「ってことはアレだな京助のお…」
笑いながら言おうとした南がハタと止まる
「俺の何だよ;」
京助が止まった言葉の続きを催促するように南に突っ込んだ
「竜…って…」
慧光が言う
「竜は竜だろ? それより俺のなんだよ; 気になるから止まんなよ;」
慧光に何気に突っ込んだ後京助が再度南に聞く
「…お父さん…?」
悠助がボソッと言った言葉に京助が少し考え込んだ後ハッとして四人の子供を見た
「お前等の父親って…ちみっこだった上4人もいるのか?」
坂田が言う
「俺の知ってる竜は…一人だけど」
慧喜が信じられないという顔で四人の子供を見た
「元は一つだったんだけど」
一本角の子供が言う
「…今はワケあってこうなってる」
三本角の子供が続けて言った
「本当に…お父さん?」
悠助が聞くと四人の子供が悠助を見た
「そうだよ…って言っても信じられないだろう?」
一本角の子供が苦笑いで聞きながら頭を撫でると悠助がブンブンと首を横に振った
「…そうか」
撫でながら一本角の子供が嬉しそうに笑った
「でも何で今…今まで何も…」
混乱してるのか京助が独り言のように言うと二本角の子供が京助の近くに歩み寄った
「お前…力が目覚めただろう?」
二本角の子供が言うと京助が顔を上げた
「京助…お前の中にあった俺の力が目覚めたことで…俺…俺達に少し力と記憶が戻ったんだ…記憶が少し戻って一番最初に浮かんだのが…ここでさ」
京助より小さな手が京助の頭を撫でた
作品名:【第十一回】きみの て 作家名:島原あゆむ