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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回】きみの て

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ゴッ

という鈍い音がした
「…どうして防がない?」
赤い目の見据える先には矜羯羅の肩に見事に当たった棒
「どうして攻撃しない?」
ヒュンと風を切り棒を持ち替えた制多迦が黙り込む矜羯羅に聞く
「…黙ったままじゃわからない」
コツと床に棒をつき制多迦がまた聞く
「諦めたの?」
一方的に制多迦がまたも聞くと矜羯羅がゆっくり顔を上げた
「…痛い…」
矜羯羅がボソッと言った
「叩かれたら痛いのは当たり前だよ」
制多迦が返した
「…僕じゃない制多迦が」
おそらく砕けているであろう肩を掴んで矜羯羅が制多迦を見る
「僕は何も痛くない」
さらっと制多迦が言った
「お前じゃないよ…僕は制多迦が痛いって言ったんだ」
肩から手を離し矜羯羅が言う
「制多迦は僕だ」
制多迦が言う
「違うよ…お前は制多迦じゃない…外見は制多迦でもお前は制多迦じゃない」
ふっと笑いながら矜羯羅が言った
「いつも見てきた…お前が残した跡を見た制多迦を」
矜羯羅が静かに言う
「生命がなくなった跡を見た制多迦を僕はいつも見てきた…その度に制多迦は…」
矜羯羅が言葉に詰まる
「【帰って】きなよ制多迦…」
矜羯羅が一歩足を進めると制多迦がまた棒を構える
「…せっかくずっと笑えていたのに…」
また一歩 矜羯羅が制多迦に近付く
「…僕はね…君の笑顔が好きなんだ…」