【第十一回】きみの て
「…俺等ってな~んもできねぇナァ…こうなると」
坂田が肘をついて溜息もついた
「はじめから期待してないよ」
そんな3馬鹿と京助に向けて鳥倶婆迦がさくっと言う
「おいちゃん達もなにもできない」
言った後小さくまた言った
「助けを求めてここにきた…何もできないからここにきたんだ」
段々と鳥倶婆迦が俯き加減になる
「…ここしか…もうくるところがなかったんだ…【空】以外じゃここしか…」
鳥倶婆迦が黙るとソレからは誰も何もいわずにしんとなった
「矜羯羅様と制多迦様のいない空なんかに…いたくないナリ」
慧光が勢いよく鼻水をかんだ
「…横からはみ出てるぞ」
あまりにも大量に出た鼻水がティッシュの横からはみ出したのを見て京助がティッシュの追加を手渡す
「でももし…扉を開けられたとしても…矜羯羅を助けられんのか?」
中島が言うとまた茶の間がしんとなった
「…重いなぁ; この空気…嫌だなぁこのシリアス空間;」
南がウダウダと言いながら窓の外を見て止まった
「…南?」
窓を見たまま止まっている南に京助が声をかけた
「おーぃ?」
中島も南に声をかけそして肩を叩く
「…何見…」
南を同じく窓の方を見た坂田も止まった
「おまたせだ…」
茶の間の戸を開け中に入ろうとした緊那羅も窓を見て止まる
「…緊ちゃん?」
戸口に立ったままの緊那羅を悠助が見上げる
「…なんだって…い…」
頭を掻きながら京助も窓を見てそれにつられるかの様に残りの面々も窓を見て…そしてやはり止まってしまった
作品名:【第十一回】きみの て 作家名:島原あゆむ