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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回】きみの て

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「…助けたいならやっぱり宝珠は取っておくっちゃ」
緊那羅が言う
「扉を開けて…宝珠がなくなったら誰が矜羯羅を助けられるっちゃ?」
カチャカチャと空いた皿を重ねつつ緊那羅が慧光を見た
「私が扉を開けるっちゃ」
皿の次に箸を集めながら再び緊那羅が言う
「でも緊那羅…!!」
「時間ないんだっちゃよね?」
何か言おうとした慧喜の言葉を緊那羅が止めた
「私はこの中で一番力がないってこと…だからその私に今できることは扉を開けることなんだっちゃ」
そんなに大きな声で言ったわけではないのに緊那羅の声がよく響いた
「どうして…空の事なのにお前は…」
「ここは栄野家だっちゃよ? ね?」
慧光が小さく言うと緊那羅が笑顔で返しそして3馬鹿と京助を見た
「あ…まぁ…ハイ;」
坂田が躊躇いながらも頷く
「私が助けたいから助けるんだっちゃ」
皿の上に茶碗を重ねてソレを持った緊那羅が立ち上がった
「台所に下げたらすぐ来るっち…」

スパァ-----------------------------------ン!!!

予告もなしに勢いよく開いた襖に茶の間が驚きの静寂に包まれた
「ここじゃないんだやな!!」
ゴが茶の間の中を見回した後また顔を引っ込めてバタバタと走っていく
「お邪魔しましたんだやな!!」
そのゴに続いて顔を覗かせたゼンもまたすぐに顔を引っ込めてバタバタと去っていく
「…なん…;」
あっけに取られながら南が口を開いた
「何か探してたみたいだったな;」
中島が言う
「晩飯はさっきあげたはず…だっちゃけど…;」
立ち尽くす緊那羅が言った

「見つけた…んだやな…」
境内の裏手で目にいっぱいの涙を溜めてゼンが見る先には誰かがいるらしく
「やっと…あえたんだやな…」
ゼンの見る先を同じく見てポロポロと涙を流しだしたのはゴ
「ずっとまってたんだやな…っ」
程なくしてゼンの目からも涙が溢れるとヒタという足音と共に誰かが二人に近付きそして二人の頭に手を置いた
「主…ッ」
泣きながらゼンゴがハモって言った