僕の村は釣り日和2~バルサ50
父親が母親に空になったグラスを差し出した。
「だーめ。今日はこれでおしまい。飲み過ぎは体に毒よ」
「今日は健也ともいろいろ話せて気分がいいんだ。頼むよ、もう一杯!」
母は「しょうがないわね」と言いたげな顔をしながらグラスを受け取った。
僕と父はウィンクをした。「やったね」の合図だ。
僕は気分よく自分の部屋へと向かった。そういえば宿題をやっていない。
(ま、いっか。いつものことだ)
僕はスモールランプにして、布団に潜ってしまった。深い眠りに落ちるまでの時間は、どんな優秀な医者のかける麻酔よりも早かったと思う。
作品名:僕の村は釣り日和2~バルサ50 作家名:栗原 峰幸