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舞うが如く 第五章 10~12

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 「城は 陥ちてもいないのに。
 なぜに若い命を、無残に散らすのか・・・」



 手当てを終えた尊之介を伴って、
白虎隊の少年たちに追いついた琴が、
その場に立ちすくんだまま、言葉を失ってしまいました。


 作蔵は、無言のまま一人ひとりを見て回ります。
幸いにして、手首につけた傷が浅すぎたために息をとどめていた、
ひとりの少年を見つけ出しました。



 「早まるにあらず、
 戦(いくさ)は、まだ始まったばかりである。
 幸いにして、首尾よくとり留めたおぬしの命は、わしが預かる。
 真の落とし場所を求めて、

 いざ、城下までまいる。」

 泣きじゃくる少年を肩に担ぎあげた作蔵が、
燃え盛る若松の城下に向かって、力強い足取りで
飯盛山の斜面を下り始めました。
少年たちの亡骸に手を合わせた琴が、尊之介に肩を貸すと
作蔵に続いて、こちらも飯盛山を下り始めます。