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舞うが如く 第五章 6~9

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舞うが如く 第五章
(9)白虎隊・士中二番隊


 日が落ちても、政府軍の大砲は轟き続けました。
降り注ぐ砲弾は、白刃を構えたままの会津兵を白兵戦の距離に
近づくことを許しません。
水平に放たれる新式銃からも、身体を起こすことができません。
遊軍隊や白虎隊による夜襲を警戒しての砲撃は、
一晩中も続き中断することなく、ついに夜明けを迎えました。




会津の制圧をめざして、
猪苗代にまで到着した政府軍の最大の目標は、
急流に架けられた、
戸ノ口十六橋(じゅうろっきょう)を確保することでした。
十六橋は、猪苗代湖から流れでる日橋川に架けられた
屈強な造りの石橋です。
若松の城下に入るにはこの橋を渡らなければなりません。
万が一この橋を会津兵に破壊されてしまえば、
水量の多いこの川を容易に渡れないことを
政府軍たちは熟知していたのです。



 政府軍2500の兵が、攻防の要所である
戸ノ口を目指して、押し広がるようにして進軍を開始してきました。
橋の破壊をあきらめた会津藩が、急きょ敢死隊・奇勝隊の七百名を急派して、
十六橋の南岸へその防御線を築きました。




 同時に、藩主・容保も
若松郊外の滝沢村へ、自らの本陣を進めました。
このときに藩主を護衛していたのが、士中・白虎一番隊と
二番隊の80名の少年たちでした。
しかし苦戦が続く戸ノ口原の防衛のために、ついに二番隊の少年たちに
戸ノ口原への出撃命令が下されます。


 白虎隊・士中二番隊は、日向内記を隊長として、
小隊頭の山内弘人と水野勇之進、半隊頭の原田克吉と佐藤駒之進の
この五名だけが成人で、他の37名はまだ16~17歳になったばかりの
少年たちでした。