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舞うが如く 第五章 4~6

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 「装備の圧倒的な違いにございましょう。
 多勢とはいえ、旧式の火器や大砲では、
 とても最新式の連発銃や、アームストロング砲には
 立ちうちすらできません。
 すでに、装備の優劣が、
 戦局を支配しはじめている模様です。」

 
 振り返ると、そこには鳥羽伏見の戦いで
負傷して亡くなった弟、鉄三郎の衣服を纏って、
七連発スペンサー銃を携えた山本八重が立っていました。
自慢の黒髪は、ばっさりと斬り落とされていて、
男子かと見間違うほどの見事な短髪でした。



 「これより、
 砲術士である夫・尚之助とともに、
 鶴ヶ城にて、砲術と最新銃の教練にまいります。
 琴様には、竹子や優子の面倒をお願いしたいのですが
 いかがでしょうか。」


 「籠城にいたるのでしょうか?」



 「いいえ、会津藩の本部隊のほとんでは
 すでに、国境警護のために各主要道に配置されております。
 ゆえに、残された予備部隊や若虎(白虎隊)達の教練が急務です。
 守りにそなえての、軍事教練の強化です。
 会津は、断じて降伏はいたしませぬ。
 最後の一兵まで戦い抜く覚悟です。」


 
 「なんと・・
 八重さまは、結婚されておいででしたか」


 「兄のすすめにて、
 砲術家の川崎尚之助に嫁ぎました。
 山本家はもともと、砲術の家柄でもあり、
 志を同じくくするものとして、
 ともに精進をいたす所存です。」



 一礼をしてからくるりと背を向けた八重が、
新式銃を肩に回すと、軽快な足取りで立ち去っていきました。
男でも重い、新式の連発銃が初夏の日差しに鈍く光っています。