クリスマス・ディナーに、蟻が ・・・
その頃に、そう、あれもクリスマスの頃だった。
社内パーティーの後、真奈が言い寄ってきた。
「涼太さん、あいつに困ってそうね。それで一つ質問していい?」
涼太は大した話しではないと思い、「ああ、いいよ」と軽く返した。
「私をもっと好きになって、結婚するか、それとも会社をもっと好きになって、出世したいのか、どちらを選びたいの?」
涼太は真奈が好きだった。
もしこんな女性と結婚したら、人生暇なしの面白いことになるだろうなあと、ぼんやりと思っていた。
しかし、その時、アルコールの勢いで男の見栄を張った。「もちろん、偉くなりたいよ」と告げてしまったのだ。
しかし、これを耳にした真奈は、あっさりしたものだった。
「そう、わかったわ、私がなんとかしてあげるわ。だけど、この傷みは出世払いでいいから、私からの貸しを死ぬまで返してね」
涼太はかなり飲んでいた。
「ああ、あいつを葬ってくれたら、真奈さんの生涯を保証するよ」
そんな危ないことを言い放ってしまったのだ。
作品名:クリスマス・ディナーに、蟻が ・・・ 作家名:鮎風 遊