クリスマス・ディナーに、蟻が ・・・
涼太には男の夢がある。
一介のサラリーマンとしてスタートしたが、この大組織を登り詰め、それを手中におさめたい。そして、この会社を世界で一番の企業にしたい。
そんな夢実現のために、味方となる者達はとにかく己の旗の下に集めておきたい。そのシンパの一人が真奈。
当然男だから、真奈の「だったら、ねえ、今夜、私を抱いてくれる?」の言葉にぐらっときた。真奈は「冗談だってば」と言い捨て、それは真奈のからかいだった。
しかし一面、それは真奈からの、涼太の脇の甘いことへのOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)だったとも言える。
真奈は男と女の関係を持ち込まない。
涼太は信用できると思っているし、頼もしいサポーターだ。
そういえば、真奈とは最初からはそうではなかった。だが、あの時以来、同志的な関係になった。
あれはまだ若かった頃、涼太は五歳年上の上司に苦労していた。とにかく傲慢で、やりたい放題。
涼太の成果は持って行かれ、あやつの失敗をおっ被せられた。その上に、後輩である涼太を潰しに掛かってきた。
作品名:クリスマス・ディナーに、蟻が ・・・ 作家名:鮎風 遊