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舞うが如く 第五章 1~3

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 この方針のもとに、
中国の故事にならって、

十六歳、十七歳の者を以て・白虎隊 を、
十八歳より三十五歳迄の者を以て・朱雀隊を、
三十六歳より四十九歳迄の者を以て・青龍隊を、
五十歳以上の者を以て・玄武隊を、それぞれ編成しました。


 白虎(西)、朱雀(南) 青龍(東)、玄武(北)は
それぞれ、中国の伝説に拠る四方の神(霊獣)の名前のことで、
それらの編成は、以下の通りです。



<朱雀隊>

士中 一番~四番隊 約四〇〇人(一中隊約一〇〇人)
寄合 一番~四番隊    約四〇〇人
足軽 一番~四番隊 約四〇〇人



<青龍隊>
士中  一番~三番隊 約三〇〇人
寄合  一番~二番隊 約二〇〇人
足軽  一番~四番隊 約四〇〇人



<玄武隊>
士中  一番隊     約一〇〇人
寄合  一番隊     約一〇〇人
足軽 一番~二番隊  約二〇〇人



<白虎隊>
士中  一番~二番隊 約一〇〇人(一中隊約五〇人)
寄合  一番~二番隊 約一〇〇人
足軽  一番~二番隊 約一〇〇人



 計三十一中隊、約二千八百人を主力としました。
これに第一、第二砲兵隊(各約一二〇 人)、築城兵・遊撃隊若干などの、
約三千余人で正規軍を組織しました。

 このほかに募集した農兵は、三千八十人を数えます。
その他に猟師隊・修験隊・力士隊 などがあり、
会津軍の全兵力は、最終的には七千人を上回りました。

 親の身分によって、それぞれ士中、寄合、足軽隊などと呼ばれています。



 これらは隊士の能力と才能によって編成されたものでは無く、
会津藩には紐制(ひぼせい)というものが長年にわたって存在し、
それは、十一階層に厳しく仕分けられていました。
身分制度は、あくまでも固定的なものであり、先祖の功績を引き継いだまま
それは幕末にまで至りました。


 「士中身分」の羽織の紐は、 
納豆色、黒色、紺色、花色と決められています。
彼らだけが殿様へお目見得が出来るという、上級武士でした。


 「寄合身分」の羽織の紐は、 茶色、萌黄色、浅黄色です。
士中身分の者とは同室も同座が出来ません。



 「足軽」は羽織不可で、 大和柿色、白鼠色、浅黄色の半襟付着です。
この身分は問題外とされ、一種の消耗品ともされていました。


 こんな因習をひっさげたままで、
多くの会津藩士たちが戦闘局面に立たされることになります。
こうしたことから多くの場合が、団結を旨とする戦闘集団とはなり得ずに、
旧式の装備と共に、苦戦を強いられる結果にもなりました。


 階級制に厳しい会津ゆえに、
近代戦には勝利できないという、身分制度の限界などがあったようです。 
武士道とは、差別の構造化と、その階層化の世界でもあるのです。