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スターブレイダ―ズ

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『ああ、SSB協会から通達があったんだ。今度の相手は『ニードル・スパイダーズ』だ』
「そうじゃねぇ! オレが言いてぇのは……」
『ん? ああ、プログラムか、それならオペレーション・ルームの机の3段目の引き出しに入ってるディスクが……』
「それも違う!」
 シンジは首を横に振る、
『まぁそう怒るなって、今スター・ブレイド02のクルーを育ててるんだから』
「……えっ、02の?」
 スター・ブレイド02は機動性と高速性に優れたナイトで操縦するには優れた視力と体力を必要とするのである、
『聞いたよ、彼女は元々部活とかで助っ人をしてるそうじゃないか、体力や動体視力も常人よりずば抜けて高い』
「何の話だ?」
『まぁ楽しみにしていたまえ、必ず彼女を1人前にして帰ってくる、それじゃあ……』
「あ、ちょっと待てっ!」
 通話が途切れるとシンジは電源を切ると忌々しそうに舌打ちをした。
 格納庫に行ってみるとスター・ブレイド02と03の姿はなかった。02はそのクルーに与え、03はホーク自身が乗り特訓に付き合っているのだろう、
 仕方なく01が戻って来るのを待ってスター・キャッスルを宇宙に飛び立たせるとチサトと順番で大気圏外での特訓を行った。

 それから3日後、02と03が帰ってきた。
「久しぶりだな2人供、訓練はちゃんとしていたかい?」
 ホークは上機嫌だった。
「小父さん!」
 オペレーション・ルームにやって来たホークをシンジは食って掛かる。聞きたい事が山ほどあるからだ。
「おお、2人供準備をしていたか、いやぁ感心感心」
 出撃準備はプログラム通りに行い整っていた。
 さらにチサトも特注品のユニフォームに身を包んでヘルメットを両手に持っていた。これはホークがチサト専用に頼んでおいた物だった。
「そんな事よりも今までどこ行ってたんだよ? それと02のクルーってどんな奴だよ? それに……」
「待て待て、そんな一度に聞かれても答えきれない、それよりそろそろ出発しないと遅れてしまうぞ。あの子も待たせっぱなしだからな」 
 それは02に登場しているクルーの事だった。
 スター・キャッスルはステーションから宇宙に飛び立ち試合場所へとやって来た。
 月の軌道から少し離れたアース・085、そこにはすでに対戦相手ニードル・スパイダーズの戦艦が待機していた。
 対戦相手の母艦、スパイダー・ハウスは真上から見ると八角形の大きな蜘蛛の巣の様に広がり、中央からは四角いタワーが突き出ていて8本の足が赤黒く野太い毒針をイメージした緑色の蜘蛛の紋章が描かれていた。
 そして戦艦の底から卵形で黄色と黒のツートンカラーの縞模様が描かれ8本のレーザー砲が円を描くように並んだナイトが発進した。それはニードル・スパイダーズのナイト『タランチュラ』だった。

 そしてスター・ブレイダーズも準備が整った。
「スター・ブレイド01、発進!」
「スター・ブレイド05、行きます!」
 兄妹の乗ったナイトが出撃すると少し遅れてもう1機、青い装甲のスター・ブレイド02が発進された。
「一体誰だ?」
 シンジは通信しようとするが向こうは通信装置を切っているのか応答がなかった。

 そして試合は始まった。
「行くぞチサト!」
「うん!」
 シンジとチサトは左右に展開して敵を分散させる作戦に出た。全くの素人であるスター・ブレイダーズにとって下手に固まって動くのは自殺行為だった。
 事前に調べた情報によればニードル・スパイダーズの武器は8本のレーザー砲と特殊なエネルギー・ネットで相手を雁字搦めにしてしまう能力を持っている、前回のスネーク・チャクラムのワイヤーで縛りつけてショック光線を伝わらせる物だったが、こちらはエネルギーその物を網にしたような物である。

 タランチュラの中ではクルー達が通信で話をしていた。
「あのパイロット達はまだガキだって聞いたぜ」
 この戦いに選ばれた3号機のディック・ザーボスが言う、痩せこけた顔にオールバックに髪を整えている。
「じゃあとっととやっちまいましょうよリーダー」
 2号機のゴーン・ドリアーが言う、肥えまくった顔に低い鼻の巨漢だった。
「では彼らに見せ付けて上げましょう、大人の戦いに首を突っ込むとどうなる事かをね」
 丁寧な口調だが物凄く凶悪な性格が滲み出ている、ヴィリー・ザイモンは残忍な笑みを浮かべた。

 敵の2号機と3号機の砲門が開くと8発のレーザーが同時に放たれた。
「させるか!」
 シンジとチサトは練習で得た操縦テクニックで交わして行った。短期間だがここまで2人は成長したのだ。もはや素人レベルを超えていた。
 謎のスター・ブレイド02のクルーも中々の腕を誇っていた。しかしタランチュラの攻撃は激しく、3人は徐々にライフは削られていた。シンジ達はどうしても攻撃を当てたいがあまり外すと焦ってしまう。

 経験の浅いスター・ブレイダーズの攻撃をニードル・スパイダ―ズのクルー達は鼻で笑った。
「やっぱりこいつらガキだぜ。力押ししかしてこねぇ!」
「SSBは力だけじゃねぇんだ!」
 2号機、3号機は攻撃力は低いがレーザーのエネルギーをギリギリまで調節して放ってくる、しかもレーザーは発砲する時に特殊コーティングされた発射口のレンズのおかげで屈折した動きでシンジ達を攻撃してくる。

 スター・ブレイド01は敵の攻撃を回避しながら反撃の機会を窺った。
「クソッ! 調子に乗りや……がっ?」
 するとその時だ。シンジのスター・ブレイド01の動きが止まった。エンジンは動いているが操縦桿を押しても利かない。ふと回りを見るとシンジは光る網の中に引っかかっていた。これでは文字通り蜘蛛の巣に掛かった虫状態である。

 タランチュラ2号、3号がシンジ達の目を引き付けている間に1号機がレーザー・ネットをしかけ、見事罠の中に追い込まれたのだった。
「ククク……じっくり料理してあげますよ、坊や」
 ヴィリーは舌なめずりをした。

 するとシンジから程遠くない所ではチサトが捕まっていた。
「うっ、動けないよぉ!」
 チサトも操縦桿を動かすが機体が思うように動かせずにパニックに陥ってしまった。

 一方、タランチュラ2号・3号は残っているスター・ブレイド02を追いかけていた。
「さてと、残るはあいつだけだ」
 モニターを見るとレーザー・ネットに向かって追いかけている、あと少しで仕掛けたレーザー・ネットに引っかかる。
「終わり!」
 ゴードンはにやりと笑った。だがその時、突然スター・ブレイド02に変化があった。
「な、何っ?」
 ゴードン達は目を丸くした。

 船首のパーツの一部がスライドし光が溢れる、そしてXの字を描いて4本のレーザーが光の刃の剣となり、さらに2枚の両翼の先端の外装が外れて大きな刃となった。
 途端スター・ブレイド02が加速し、驚異的な速度となった。
 その速度は今までの3倍は越えていて、そのまま直進するとレーザー・ネットをチリヂリに四散しながら突き破り、さらにそのまま楕円を描くとタランチュラ2号、3号をすれ違い様攻撃した。
「ぐぁあああ――っ!」
「ぎゃあああ――っ!」
 ゴードンとディックはフィールド・アウトしてしまった。
「な、何ィ?」
作品名:スターブレイダ―ズ 作家名:kazuyuki