スターブレイダ―ズ
今01―?は02―Wに押されて飛んでいる、そして通信回線が開きレナが呼ぶ、
『大丈夫? シンジっ!』
レナが本気で心配していた。
「レ、レナ……」
シンジはレナと顔を合わせる事が出来なかった。
自分が原因を作り険悪な状態を作った。しかもそんな自分を助けてくれたレナにどんな顔をすればいいのか分からなかった。だが……
『このバカっ!』
レナが一喝する、
『何諦めてんのよ、一緒にブロンズ・ランクに行くんでしょう、リーダーがこんな所で挫けてんじゃないわよっ!』
「レナ……」
『そうよ、シンジ君』
そこへビアンカからも通信が入る、
ふと外を見ると今まで劣勢に立たされていたスター・ブレイダーズが逆転し始めていたのだった。
確かにクルーの技量ならば確かにブラッディ・ムーンの方が上だろう、しかし力を合わせ、異なる力を引き出す戦い方においてはスター・ブレイダーズの方が上だった。クルーが変わってもこれがスター・ブレイダーズの戦い方だったのだ。
『私達はこんな所で負ける訳にはいかないでしょう、今まで貴方がして来た努力は決して無駄じゃ無いわ!』
『そうですわ』
次はシーラが映る、
『スクレイア・グループと御自分自身を信じてください』
『お兄ちゃん』
最後はチサトだった。
『お兄ちゃんはお兄ちゃんらしく戦って、私達もいるから!』
「チサト、シーラちゃん、ビアンカさん…… レナっ」
仲間達の笑顔を見渡し、最後にレナを見る。
半分涙目で釣り上げていた眉を緩めるとレナは頷いた。
「……悪かった。これからも一緒に戦ってくれ、俺にはお前が必要だ!」
それは心の底からの言葉だった。
その言葉を聞いた瞬間、レナは嬉しくなり涙が溢れ出てきた。シンジが自分を頼ってくれる、これ以上の嬉しい事は無かった。
『うんっ! 私…… シンジと一緒に居たい!』
レナの笑顔が画面越しに輝くとその瞬間、突然01―?のシステムが独りでに動き出した。そして同時に02―Wのメイン画面に謎のコードが浮かび上がった。
「Comben・Access?」
それはスター・ブレイド01―?のみが与えられた力だった。
他のクルーと気持ちが各ナイトに内蔵されている思想制御システムと同調した時にのみ発動できる最強の武器だった。
「レナ、やるぞ!」
しかしどんなシステムなのか分からない、しかし今の2人に恐れる物など無かった。
『了解!』
レナの瞳に強い光が灯るとシステムを起動、2人は心と声を揃え叫んだ。
「「コンバイン・アクセスッ!」」
するとスター・ブレイド01―?と02―Wに変化が現れた。
01―?の翼が収納され尾翼が切り離されるとそれが反転、コックピットとナイトの頭が2つに折り畳まれる、02―Wもコックピットから下が分離、反転した01―?の尾翼と合体しさらに折りたたまれた01―?のコックピットの結合部分と02―Wのコックピットが合体すると2つのナイトが1つのナイトとなった。
「こ、これは……」
全システムは回復し、画面に合体後の名前が浮かび上がる、
「スター・ブレイド・ブルー・フェニックスっ!」
シンジ達はエンジンを全開にしてゲッコウ5号機に向かった。
「な、何ぃっ?」
突然の事にカイトはパニックになっていた。こんなナイトは見た事がなかったからだ。
合体してはいけないと言うルールは無いがシンジとレナが1つとなり自分に迫っていた。
「さ、させるかぁーっ!」
ゲッコウ5号機はレーザーやミサイルを放つ、するとその瞬間敵ナイトが光り輝いた。
無論それは新ソニック・シュレッダーだった。合体し大きくなっただけ大きくなり、さらに光の帯が不死鳥の尾を形作っている。
「これで終わりだぁーっ!」
なりふり構っていられなくなったカイトはライフ・ゲージを確認、最後の一発のサテライト・へリボロスを放った。
今の距離からなら絶対に避けられない、絶対の自信はあった。だがスター・ブレイド・ブルー・フェニックスには避ける動作が無くそのまま突っ込み大爆発を起こした。
「やったか?」
カイトは息を飲む、しかし爆煙の中から現れたのはシンジ達だった。
「なっ?」
カイトは信じられなかった。
全てのエネルギーと自分の思いをつぎ込んだ一撃が破れ、しかもエネルギーの使い過ぎでシステムがフリーズした。
シンジとレナは互いのシステムを起動させ最後の攻撃に出た。
「「ブルー・ファイナル・アタァーックッ!」」
それはまさに会心の一撃だった。
01―?の基本性能に02―Wのエネルギーを注ぎ込み、二重三重にパワーアップしたスター・ブレイド・ブルー・フェニックスの体当たりに適う者は無かった。
たちまちゲッコウ5号機はロスト、他のブラッディ・ムーンのナイトもビアンカ、シーラ、チサトの3人の見事なコンビネーションにより敗北しロストした。
そして勝敗が決定するとアナウンスが喉が張り裂けんばかりに大きく叫んだ。
『バトル終了、WInnr・スター・ブレイダァァ――ズッ!』
このバトルを見ていた観客は画面に向かって歓声を上げた。
この瞬間多くの人々がスター・ブレイダーズを認めたのだった。
後日、スター・キャッスルは全クルーを乗せて地球にあるSSB協会本部へ向かった。
そこで待っていたのは勝敗の結果を聞きつけたマスコミとの記者会見の準備を済ませた会長シン・グローリーだった。彼の手には優勝者の証のトロフィーがもたれている。
今にも飛び出しそうなマスコミをSSB協会のガードマン達が抑え、カメラのフラッシュが飛ぶ中5人の勇者達が進んでいった。そしてシン・グローリーから勝者への言葉が行われる。
「よくやった。スター・ブレイダーズの諸君、君達は今日からブロンズ・ランクの仲間入りだ」
シン・グローリーはトロフィーを差し出す、シンジは緊張しているのだろう少し戸惑うが仲間達に押されて両手を差し出しトロフィーを受け取る、
その瞬間をマスコミや報道陣はざわめき始める。
するとその時だった。
マスコミや報道陣を押しのけて一組の男女がやって来た。
「シンジ殿っ!」
「タケシ?」
それは間違いなくタケシだった。
彼はスター・ブレイダーズの戦果を聞き、いてもたってもいられなくなってミワコと供にここにやって来たのだった。
「やったでござるなシンジ殿、これでブロンズ・ランクでござるよ!」
「ああ、ありがとなタケシ!」
「本来ならば拙者がそなたと戦いたかったでござるが、拙者の力が及ばなかったばかりに、うう……」
「タケシ様」
本気で号泣するタケシをミワコは宥める、するとシンジは鼻で笑う、
「何言ってんだ。お前も早く昇って来い、待ってるぜ」
シンジがそう言うとタケシは袖で涙を拭うと胸を張って答えた。
「フッ、無論でござる! すぐに追いつくでござるよ」
もはや男達に言葉は要らなかった。
握った拳をぶつけ合うと再び戦う約束を交わした。
すると今度はマスコミや観客達が左右にそれると黒服にサングラスの男達に囲まれながらシーラの祖父、セドル・スクレイアがやってきた。
「お爺様、お仕事は?」