スターブレイダ―ズ
そして準決勝当日、ジュピター・Q―225でスター・ブレイダーズ対ダンシング・バタフライの試合が行われようとしていた。
敵チームの母艦は蛹(さなぎ)を模した戦艦で名前は『コクーン』、そこから2機のマスカレイドが発進した。
スター・キャッスルの格納庫からもレナとシーラが発進、バトル・フィールドへ突入すると準備が出来た所で試合開始のアナウンスが流れた。
『準決勝第一試合、スタートッ!』
各自一斉にブースターを起動させ全システムを起動させる、
マスカレイド1号機、2号機は左右に展開し機体から銀色の粉が発せられた。
「ソニック・シュレッダー?、発動っ!」
レナはスイッチを入れる、
途端機体が眩い光を放つとスター・ブレイド02―Wが金色の光に包まれた。それだけでは無い、何と翼や尾翼から幾つもの光が長い帯状に伸び出した。
「スピニング・フェザーっ!」
それこそスター・ブレイド02―Wが新たに得た力だった。
機体に内蔵した粒子発生装置により機体の所々に光の刃を出現させると言う物だったが、ビアンカはサムライ・ジパングのナガミツからヒントを得てナイトの形状と多少の機器の改造により粒子を機体に纏わりつかせ、さらにその光を帯状に形成させる事により攻撃範囲を広げ中距離攻撃が可能としたのである、
「えいっ!」
レナが操縦桿を捻ると02―Wが螺旋を描いて光の粒子の中に突入すると光の帯が銀の粉を振り払った。
以前は光の帯が上手く扱えずに手を焼いていたのだったが、ジムでの特訓(リボンを2つ持ってでの新体操)がレナにソニック・シュレッダー?の使い方を感覚で覚えさせていたのだった。
今までのソニック・シュレッダーでは相手の光子分解粒子に触れた瞬間に敗北が決定しただろう、しかし帯状に伸ばしさらに金色の粒子が機体全体に纏わりつかせる事によりフィルター代わりとなる事で相手の粒子を相殺する事に成功したのだった。
光子分解粒子が振り払われると同時に02―Wのソニック・シュレッダー改は強制解除されたがレナが操縦桿を引くと02―Wは急上昇、しかしそれと同時にその後ろに控えていたスター・ブレイド04―Aがリフレクト・ビットを発射、2機のマスカレイドを捕らえた。
「行くわよ、シーラっ!」
「はいっ!」
大きく弧を描いて素早く後ろに回ったスター・ブレイド02―Wが04―Aと並んで一斉攻撃を放った。
02―Wのレーザー・バルカンと04―Aのツインカム・レーザーが敵ナイトを粉砕、マスカレイド1号・2号は直ちにフィールド・アウトした。
この瞬間スター・ブレイダーズの勝利が確定し決勝進出を決めた。
「やりましたね、レナ様!」
「うん」
2人はスター・キャッスルに帰還、ドックに収まりナイトから降りるとレナは思った。
「……本気で新体操始めようかな?」
シンジは今日もホークからの特訓を受けていた。試合には参加せずにずっと訓練の日々、その努力が開花しつつあった。
「うおおぉ――ッ!」
01―?がミサイルを発射、無論ホーク機は交わしながらレーザーで撃墜する、しかし背後に01―?が迫っていた。
「貰った!」
シンジの攻撃はホーク機にヒット、ホーク機は赤いペイントに塗れた。すると01―?の画面にホークが映る、
『よくやった。ここまで腕を上げるとは思わなかった』
最近ではホークが力及ばず敗北する事が多くなった。
ずっとホークとしか戦わずに戦闘パターンが読みやすくなってきたと言う事もあるがそれでも最近では勝利する事が多くなってきた。
「……当たり前だぜ」
シンジは微笑する、そんなシンジにホークは真顔で言う、
『だが油断は禁物だ。私が教えたのは基礎中の基礎だからな』
「あ、ああ……」
ここ数日でシンジの慢心が消えていた。
自信過剰と言うか調子に乗る癖がこの特訓で無くなり慎重に動く事を覚えたのだった。
『さてと、そろそろ帰るか』
「ああ、腹も減ったしな」
2人はスター・キャッスルに帰還した。
しかしそこで嬉しい情報と信じられない情報が入った。
「えっ?」
嬉しい情報とは無論決勝進出が決まった事、そして信じられない情報と言うのはサムライ・ジパングが敗北したと言う事だった。
「な、何でだよ、スチール・ランク最強なんだろ?」
「シンジ君、落ち着いて」
「ビアンカ様の言うとおりです、負けるときは負ける、悲しい事ですけれどもこれが戦と言う物ですわ」
2人に言われてシンジは顔を顰めて肩の力を抜く、
するとビアンカが息を整えて真面目な顔つきになる、
「とにかく、決勝戦の相手は決まったわね、私達の相手は……」
「「「「ブラッディムーン」」」」
各自は口をそろえる、