スターブレイダ―ズ
その日からスター・ブレイダーズの地獄の特訓が始まった。
シンジは操縦桿を片手に新しくなった相棒スター・ブレイド01―Xの操縦方法は旧スター・ブレイドと同じだが使い手が弱ければ何の意味も無い、一刻も早く新しい剣を使いこなさなければならなかった。1分1秒…… その時間がシンジ達の敵であった。
それからさらに時は流れ、1週間後の試合の日となった。
第1回戦第1試合、圧倒的な火力を持つグレート・ミノタウロスと機動力重視のダンシング・バタフライの試合は初戦を飾るに相応しい戦いぶりだった。
当初は圧倒的な火力を持つグレート・ミノタウロス側の勝利と思われたがダンシング・バタフライの舞を思わせる戦いぶりに敗北、後者が2回戦進出を決めた。
そして第2試合が始まろうとしていた。
「いよいよ私達ね」
「がんばりますわ」
「うん」
3人は手を重ねる、するとビアンカは遠くで見ていたレナに言う、
「レナちゃん、シンジ君の事、お願いね」
「え、はい……」
レナが頷くと3人は決戦の場に向かった。
その頃、シンジは今試合会場から遠く離れた場所でホークより戦闘訓練を受けていた。
大きく張られたバトル・フィールドの中で2機のナイトが激しい火花を散らしていた。ホークはスター・ブレイド03と全く同じ形状と性能のナイトを用意してもらいスター・ブレイド01―Xの性能を完全に引き出す為の特訓を行っていた。
シンジは当初と比べて確かに腕を挙げた。しかしホークにはまだ敵わなかった。
「……チッ」
シンジはレバーを引きブースターを全開、背後に回りろうとする、
しかしホークはそんな事を見とおしていてナイトのエンジンを止めるとあらかじめチャージしてあった主砲を放った。その反動を利用して後退するとシンジに体当たりを仕掛けた。
「いいっ?」
シンジは慌てて操縦桿を回して回避、何とか無傷で済んだと思いホッとするがそれは束の間事だった。
「うわっ?」
背後からホークのミサイル攻撃を受けてしまった。
『敵に囚われすぎだ。主砲やミサイルだけが武器だと思うな!』
「あ、ああ……」
『それと君は目で相手の動きを追う癖がある、相手の行動を予測して自分がどうするかを考えろ!』
いつものホークの優しさは無かった。
あるのはナイト・クルーとして、戦士としてのあり方を教えていた。
『君はこれから強くならなければならない、誰よりも…… 無論ハヤトよりもな!』
「親父より?」
シンジの心の中にハヤトの顔が浮かんだ。
かつて最強のナイト・クルーだったハヤト・ゴウ、シンジは自分の父を、最強の男を超えなければならないと言う、
『私は確かにスター・ブレイダーズを続けさせたかった。しかし今はそれだけは駄目だ。スター・ブレイダーズは進化しなければならない、過去に囚われていてはいけないんだ!』
その言葉を聞くと操縦桿を握るシンジの手に力が入った。
「……そしてオレがそれを引っ張る訳だな。ОK、やってやるよ!」
シンジの中に新たな闘志が芽生える、
『行くぞ、シンジッ!』
ホークが目を見開きブースターを全開するとスター・ブレイダーズ01―Xに向かって突進、それを見たシンジもブースターを全開しホークのナイトに向かって飛び立つ、
「うぉおおお――っ!」
そして宇宙に閃光が走った。