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スターブレイダ―ズ

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 そして試合当日の日がやってきた。
 スター・キャッスルはヴィーナス・29地点に到着、そこにはスクレイア・グループの自家用シャトルと護衛艦が数隻、さらにひときわ目立つ戦艦が一隻あった。
 巨大な翼を広げた鳥を模したその戦艦は『ブラック・マザー』、これからスター・ブレイダーズと戦うもうナイト・チーム、『スナイパー・コンドル』の母艦である、
 胴体部分には嘴がライフルの銃口の様に描かれたコンドルのエブレムがあった。
「参ったな、最後の最後で1人足りねぇ……」
「正直に向こうに言うしか……」
「心配はないわよ」
 するとレナはため息を零しながら言った。
「マジかよ、オレ聞いてねぇぞ!」
 シンジはホークを見るとホークは咳を払い目線を反らした。
「誰なんですか?」
「あ、いや、実は……」
 ホークが言おうとすると扉が開いて新しいナイト・クルーが姿を現した。
「あ、ああ……」
 シンジは言葉がなくなり、チサトとビアンカは目をパチパチと開閉した。
 
 一方、スナイパー・コンドルのナイトは黒い塗装の大きな翼に船底にビーム・ライフルを搭載した上から見るとMの字に見える『マッド・ウィング』が出撃した。
 スター・ブレイダーズのナイト・クルー達はそれぞれのナイトに搭乗し、モニター越しに会話をしていた。
「みんな、準備はいいか?」
「うん……」
「こっちはいいわ……」
「こっちも…… よ」
 チサト、ビアンカ、レナは正直不安だった。スター・ブレイド04に乗る事になったナイト・クルー、その者がシンジのモニターに写った。
「シンジ様、私には?」
 彼女は明らかにシーラだった。
 しかし彼女は赤い蝶を模した仮面を被っていて髪型もツインテールからポニーテールに纏め上げていた。
「……じゃあシーラちゃん、頼む……」
「違いますわ、私は正義のお助けナイト・クルー、マスクド・フェアリー三世ですわ!」
『何よその三世って……』
 レナは画面に割り込み突っ込みを入れる、シーラ(マスクド・フェアリー三世)はにっこりと微笑んだ。
 実はシーラはレナに頼み込んでホークにナイト・クルーになる事を志望した。
 だがさすがに資金活動をしてくれる財閥の令嬢が試合に出るのはさすがに問題があると断りを入れたがレナが語るにはシーラは言い出したら聞かない性格らしく、止む無く機体にだけに乗せる事にしたが操作が一番難しい緑の装甲のスター・ブレイド04を難なく操ってしまったのだった。
 それは彼女の合気道で鍛え上げた呼吸と絶妙なタイミングによる物だった。
 そして彼女の祖父には内緒でSSB協会にライセンスを発行、勿論『マスクド・フェアリー三世』等と言う名前が通る訳がなく、スクレイア・グループの名を隠す為に母方の姓を名乗り『シーラ・サロマ』と言う名で登録した。
「こうなったらヤケだ! みんな行くぜ!」
「「「「了解!」」」」
 そして決戦時刻が訪れると各自の戦艦から勢い良く飛び出したナイト達が編隊を組みながらバトル・フィールドに突入した。

 なおこのバトルは時間無制限のバトルロイヤル式、最後まで残ったチームのナイトの多い方が勝ちとなる、負ければ当然資金援助の件は白紙となる。
「それじゃ、おっぱじめようぜ!」
 先に仕掛けたのはシンジだった。
 ブーストを全開させ敵に突っ込むとレーザーを連打した。
 これは敵の出方を見る為と性能を見る為の作戦であった。しかし……
「なっ?」
 敵のマッド・ウィングはそれぞれ散開し遠くの方に逃げてしまった。
 相手のナイトは高速タイプでスピードには自信があるらしい。
『それでも02ほどじゃないわ!』
 レナはブーストを展開し加速する、そしてマッド・ウィングの一体を射程を捉えてバルカン砲のスイッチを入れようとする、
 しかしマッド・ウィングの船底に取り付けられたレーザー・ライフルが180度回転して銃口がスター・ブレイド02を捕らえた。
 そしてレナの攻撃よりも素早い一撃が02にヒットした。
『きゃああっ!』
 衝撃でナイトが大きく揺れ動きスター・ブレイド02の動きが一瞬止まった。
 その隙にマッド・ウィングは間合いを開けるとUターン、一定の距離を保った状態のままレーザー・ライフルの銃身を元に戻すと再び攻撃を放った。
 一方シンジ達も同じ状況を強いられていた。敵のナイトの攻撃力はさほど高くないが確実にヒットを狙ってくる、こちらが攻撃を仕掛けようものならたちまち高速で回避し、360度変形可能なレーザー・ライフルで撃たれてしまう、このままではスター・ブレイダーズの負けは確実だった。
「クソッ、何か手はねぇのか?」
『シンジ君!』
 するとビアンカから通信が入る、
『このナイト達もサムライ・ジパングと同様で武装が限られてるはず、まして遠距離射撃を主体としてる連中なら近距離での戦闘に弱いはずよ!』
「で、でもどうやって?」
 シンジは訪ねる、前回のサムライ・ジパングの時は相手が1機だったからなんとか勝てたが今回は5機、1機づつロストさせていったのでは効率が悪い、一気に全てロストさせる必要があった。
『私のコロナ・バスターなら広範囲に威力があるけど……』
 ビアンカは考える、一番攻撃力の高い彼女のスター・ブレイド03は機動力が低い分、攻撃力と攻撃範囲がずば抜けて高く、特に03用に搭載された一撃必殺のエネルギー砲、コロナ・バスターは驚異的な威力を秘めている。
「それはダメっス、コロナ・バスターは最後の手段っスよ!」
 コロナ・バスターはかなりのエネルギーを消費が激しく、しかも一発しか使えない、もしこれが外れれば03は一時的にシステムがフリーズしてしまうという欠点がある。
「何とかならないか?」
 シンジは通信を入れるがレナ、チサト、シーラもとても会話できる状況ではなかった。ライフ・ゲージは確実に減っている、このままでは敗北は確実だった。

 一方相手チーム、スナイパー・コンドル側はと言うと……
『やっぱりスター・ブレイダーズって対したことないな』
『何でこんな奴らがオレ達と戦ってんだか?』
『はははっ、とっとと潰れた方がいいのになぁ!』
『全くだ』
 コンドルの頭を模したヘルメットに背中には2枚の翼が描かれた黒いユニフォームを着こんだマッド・ウィング2、3、4、5のクルー達は互いを無線で自分達の勝ちを確信し合っていた。
しかしそこに喝を入れるものがいた。リーダーのザイ・ゴーキだった。
『無駄口を叩くなっ!』
 ヘルメットのゴーグル越しに仲間達をにらみつけると仲間達は何も言えなくなった。
『仮に自分より下の相手でも軽く見るなと言っているだろ、勝負はついて見なければ分からん! 余計な事を話してる暇があるなら確実に一体倒してから言え!』
『す、すんませんリーダー……』
 仲間達は頭を下げた。

 スター・ブレイダーズのライフ・ゲージは着実に減っているがスナイパー・コンドルは全く減っていない、スター・ブレイダーズは風前の灯し火だった。
「くそッ、どうすりゃいいんだよ?」
 どんな攻撃でも当たらなければ意味がない、相手は安全な場所に居ながらどんな角度でも攻撃できる、
 だがこちらの攻撃は相手の射程より遥かに劣るのでなるべく接近する必要がある。
作品名:スターブレイダ―ズ 作家名:kazuyuki