スターブレイダ―ズ
レナはゆっくり近づくとビアンカはなにやら悲しそうに目を背けた。
「どうかしたんですか? さっきから変ですよ?」
レナは訪ねるとビアンカはフッと微笑して答えた。
「やっぱ分かっちゃうか、顔に出ちゃうのよね……」
「ビアンカさん、よかったら話してくれますか? 気休めにもならないと思いますけど…… 話すだけでも大分楽になりますよ?」
レナは心配そうに見詰める、
ビアンカはため息を零すと持っていたスケッチブックを開いて見せた。
そこには様々なカラーリングが施されたナイトが描かれていた。しかしどれも大きくバツ印が描かれている。
「私ね、仕事を辞めようと思ってるの」
「どうして、折角夢が叶ったのに?」
ビアンカは幼い頃からナイトの絵を書くのが好きで、大きくなったらナイト・デザイナーになろうと努力を重ね、その甲斐あって有名なナイト製作所に勤める事になった。
ビアンカの設計は素晴らしく様々なナイトを生み出して行った。だが最近は仕事が上手く行かずにスランプに陥ってしまったのだった。
「上司に言われたの、ウチは書けなくなった人間は要らないって、役に立てない人材を雇うほど暇じゃないって……」
「そんな、酷い! ビアンカさんが苦しんでるのに!」
「いえ、それは当然の事なの、社会に出れば分かる事よ……」
ビアンカはレナに言う。
「それで私は休暇を取ってここに来たの、初心に返れば何か分かるのかと思ったんだけど…… 正直どうしていいか自分でも分からなくなったのよ」
ビアンカは今にも泣きそうだった。夢を追い求めて壁にぶつかってしまったビアンカにレナはどう答えていいか分からなかった。
するとその時だ。スター・キャッスルの船内放送が流れた。
『シンジ君、レナちゃん、チサトちゃん、直ちにオペレーター・ルームに集まってくれ』
「何かしら? ビアンカさん、ちょっと行って来ますね」
レナはオペレーター・ルームに向かった。
ホークに言われるままにスター・ブレイダーズの3人は集まった。
「何かあったんスか?」
「うむ、まずはこれを見てくれ。」
シンジ達がスクリーンを見るとそこには一通のメールが届いていた。
「これは?」
ホークはメールを開くとそこには『挑戦状』と書かれていた。
「いるんだよな、少し有名になると名前をあげようって奴がよ…… で、誰からだ?」
「えっと……サムライ・ジパングからだ」
「えっ、それって確か……」
サムライ・ジパング、それはスチール・ランク最強のチームであった。名前だけならシンジ達も知っていた。
「ええと何々? 前略スター・ブレイダーズ殿、貴殿達と決闘を申し込みたい、日時は3日後の正午、場所はマーズ・996……」
「何つー、時代遅れな……」
「これ公式戦なんですか?」
「いや、公式戦ではないらしい…… どうもあちらさんからご指名みたいだ」
「んだよ、タダか……」
「そうでもないみたい、ホラ……」
チサトが指をさす、
メールの最後の方にはもし戦いに勝利したのなら公式戦より2倍の賞金を出すと書かれていた。ちなみにこちらは負けても何も出さなくて良いらしい、
「マジか? そりゃ気前が良いな。」
シンジは態度を変えた。
「小父さん、そう言う事ならやろうぜ。」
「あのね、スチール・ランク最強なのよ! アンタは5回、私とチサトちゃんは4回しか戦ってないじゃない!」
「まぁまぁ…… 辞めたければこちらが断れば良いんだし、どうする? 断るか?」
「お前達はどうするんだ?」
シンジはレナ、チサトに問う。
「私は反対ね、だって私達はまだ経験不足訳だし…… 引くのだって大事な事よ。」
「でも、相手が私達を指名してくれたって事は私達の事を認めてもらってる事じゃない? それなら私達の力を試すのもいいんじゃないかな?」
「じゃあ決まりだな、試合は受けようぜ、さすがオレの妹だ!」
「えっ? いや、まだ決まった訳じゃ……」
「また始まったわよ、シンジの悪い癖……」
レナは頭を抑えた。
シンジはすぐ有頂天になりやすいと言う欠点がある。
「まぁまぁ、出るのならトレーニングは欠かせないな、これから特訓だ!」
ホークが言うとシンジは右手の拳を天井に上げ、レナはため息を零しチサトとプロメテスは両手を上げた。