御伽物語
そうしてもう一度、光り輝く子供が生まれ出ました。
当然のごとく人々はその子供を勇者に育てようと努力をしました。
そのお陰か、子供は立派に成長して、強靭な肉体に正義と自愛を持つ屈強な魂の宿る、
青年となりました。そして彼もまた、ひとり、魔王を倒すべく旅立ちました。
しかし魔王はそれよりも強く、勇者となるべき青年は、呆気無く、殺されてしまいました。
そして、魔王は涙を溢しました。
人々はまたも嘆き、悲しみ、自分たちの不幸を嘆き、魔王を憎みました。
勇者に成れずに散った2人の話は語り継がれ、
後に生まれ出る光り輝く子供が散る度に1人、またひとり、と数を成し、
魔王の涙は黄金の杯へと溜まってゆきました。