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舞うが如く 第四章 13~14

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 間合いを計り合うための、数呼吸が続きました。
最初に、妹の優子が仕掛けました。
鋭い気合と共に、なぎ払うように繰り出された薙刀を、
琴が低い姿勢でやり過ごします。
優子が切り返すいとまをあたえず、トンとに跳躍すると、
優子の懐深くへ飛び込みました。



 左手で、優子の利き腕から薙刀を払い落します。
くるりと一回転をしながら、さらに右手で、
鞘(さや)のついたままの小太刀を、
優子の白い喉元に突きたてました。



 「まずは、、お一人目。」


 優子から身体を離した琴が、八重の薙刀と対峙をします。
背後に回り込んだ竹子が、琴の足元を狙って打ち込んできました。
それに相呼応するかのごとく、ほとんど同時に、
正面から八重の薙刀も振りおろされました。


 ふわりと身体を浮かせた琴が、
竹子の薙刀を足裏で、そのまま地面に踏み落としてしまいます。
袈裟がけに走る八重の薙刀は、
そのまま半身でやり過ごしてしまいました。
勢い余った八重が、琴の正面で体勢を崩します。
琴の小太刀が、ガラ空きのままの八重の脇腹を
軽く突いてみせました。
さらに前方にのめってきた竹子を、その両腕でやんわりと
受け止めてしまいました。



 「八重どの、そして、竹子さま。」



 抱きとめたままの体勢から、
背後に回した小太刀で、軽く竹子の背中を突いて見せました。
あまりの早技に、八重が賞賛の声を上げました。



 「恐れ入りました。
 聞きしに勝る法神流の早技ぶり、
 とても、太刀打ちができませぬ。
 我が母より、京での兄・覚馬の話が聞きたいとのお願いで
 参上いたした次第です。
 噂に高い、琴殿の腕前を拝見いたそうなどと、
 つい、この3名にて、ご無礼を働いてしまいました。
 非礼をお詫びいたします。」



 「いえいえ、狭い庭先での立会いゆえ、
 3人同時では、あなたたちのほうが、
 実は不利というものです。
 実力にはあらず、心理を突いた駆け引きにございまする。
 実戦とは、常にそのようなものにありまする。 
 時と場合によっては、短いもののほうが、
 役に立つ時もございまする。、
 しかしながら、種明かしをしてしまうと、
 もう、皆さん方に、
 二度目は、通用しないと思いまする。」



 呼吸一つ乱れていない、
涼しい琴のあり様に、あらためて驚嘆をする、
いずれも会津美人の、3人でした。