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舞うが如く 第四章 13~14

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 山本八重もそのひとりでした。

八重の父・権八は、
藩の砲術師範を務めるほどのきわめて厳格な武士の一人です。
兄の覚馬は江戸で蘭学を学び、さらに西洋兵学を身に付けたため、
会津藩でも出色の駿才といわれました。


 いつも銃や大砲に囲まれて育った八重は、
並みの藩士たち以上に軍学にも明るく、また
武器の扱いにも優れていました。
そんな中で、八重に縁談の話が持ち上がりました。



 その相手が、出石藩出身の川﨑尚之助でした。
兄にすすめられてお付き合いが始まりますが、
序々にお互いを認め合えるようになり、
やがて八重が19歳の時に所帯を持つことになりました。
男勝りだった八重に、はじめて女性らしい平凡な日々が訪れます。
しかし、そんな幸せをぶち壊す事件が
次から次にと勃発をします。



 1864年、京都御所で、長州軍と幕府軍が激突をします。
その戦い「蛤ご門の変」に参加していた兄の覚馬が、
両目を負傷してしまいました。
しかし、悲劇はこれだけでは終わりません。



 1867年、徳川慶喜と薩長軍が、鳥羽伏見で再び激突をしました。
この戦いに会津藩は主力部隊を投入しますが、
次々に敗れて後退を余儀なくされます。
この戦いに八重の弟・三郎も参加していましたが、弧軍で奮戦の末、
着物と遺髪だけが、やがて故郷の会津に戻ることになりました。


 この頃に、兄の覚馬は敵方に捕らわれて軟禁されていましたが、
会津へは、新政府軍によって惨殺されたと伝わってきます。
八重の心には、薩長軍による新政府軍に対する、
激しい怒りが生まれます。