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舞うが如く 第四章 1~3

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 初秋の頃になると、
沖田の病状もずいぶんと回復をしました。
盆地である京都の秋の到来は早く、
蒸し暑かった真夏の風が嘘のようにやわらいで
いつのまにか、山々からは涼しい風が吹き下ろし始めます。



 幕府の典医・松本良順の見立てで、
沖田は軽い呼吸器疾患と診断されました。
この後も、乾いた咳でときおりむせ込むことがありましたが、
池田屋のような吐血は影をひそめました。


 江戸へ発つ前日、
近藤が沖田を訪ねてきます。
手土産がひとつ、軍鶏の肉が届けられました



 「坂本(竜馬)も大好物だという軍鶏肉だ。
 わざわざ三条の坂本の行きつけの店より取り寄せたものだ。
 旨いものには、勤皇も佐幕もあるまい、
 滋養があるということだ。
 充分に英気を養ってくれ。
 長州もいまごろは、
 幕府軍に取り囲まれて、身動きが取れない事であろう。
 わしらも、ゆるりと、江戸まで行ってまいる。
 しっかりと、養生せいよ、
 総司。」


 池田屋での激しい吐血と昏倒は、
蒸し暑い初夏の高温下での激しい戦闘による熱中症か、
一時的な体調の不良であろうというのが、
大方の見方となりました。