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舞うが如く 第四章 1~3

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 実際に九月に入ってからは土方を押しのけて
朝からの道場での練習にも、たいそう精をだすようになりました。
もともとが激しい稽古で知られていましたが、
最近ではそれに凄味が加わりました。
いつにない激しい立会いぶりに、そろそろと山南が助け船をだします。


 「総司、あまり根をつめるな、
 病み上がりとは言え、そう先を急ぐでないぞ。
 わしが、代わろう」


 尊拠(そんきょ)の姿勢から一礼を終えた沖田が、
道着をはだけて、したたる胸の汗をぬぐいました。
そのかたわらに土方が現れました
そのまま聞けと、総司に小声でささやきます。



 「近藤が江戸より連れてきた新隊士のうちに、
 伊東甲子太郎というのがおるが、
 どうも、要注意人物のようである。」


 「警戒せよと?」


 「剣の腕と言い、
 弁舌と言い、何の文句もないのだが、
 どうも何か気にかかるものがある。
 俺も注意はしてみておくが、
 総司もそのつもりで居るように。」

 「承知いたしました。」


 この時は、軽い懸念にすぎませんでしたが、
やがてこの伊東甲子太郎が、新撰組の別動隊を仕立て上げようと、
よからぬ策動を開始いたします。


 しかしそれ以上に、年が明けた元治2年の冬に、
沖田を震撼させる、一大事件が発生します。