百戦錬磨 第一話
むかしむかし、あるところに小さな村がありました。
しかし、その村は古くから凶作や疫病が流行る土地柄だったのです。
そのせいもあってか、元は大きな村が気が付けば、小さな村になってしまっていたのです。
『このままではいけない』と村の一人の青年が都へ出向いて、凶作の対策や疫病に詳しい医者を連れてこようと勇んで村を旅立ちました。
しかし、村は大きな森に囲まれており、獰猛な獣がたくさん住んでいます。そう簡単に都へ行くことはできません。
ですが青年は無謀にも何も持たず、準備もせず、一人で行ってしまいした。結果、青年は大けがをし、夜の森の中で動けなくなってしまいます。
『ここまでか』諦めかけたその時、青年の頭の中に声が響いてきました。
『汝は、誰ぞ』と。
青年は驚き、辺りを見渡します。しかし、辺りには誰もいません。
『空耳か?』
青年が呟いたその時、再び声が聞こえました。
『汝は人間か』と。
今度こそはっきり聞こえたその声に、青年はもう一度、辺りを見渡しました。すると、夜であるにも関わらず、まるで昼のように明るいところがあるではありませんか。
『物の怪のたぐいか?』
青年は慎重でした。しかし、このままここにいても仕方がありません。そこで青年は腹を括ってその場所へと地面を這って行きました。
そして、青年はそこで驚くような光景を目にしました。
『こ、これは――――――』