銀の糸
インスタントのカレーをご飯にかけて食べると直ぐに仕事に掛った。
何故か自分でも解らない位、早く型紙を彫ってみたかった。
細面の色白の五月女に逢いたい気持ちがあった。
原口はもう55歳になっていた。
人を好きになることなど考えてもいなかった。
妻を忘れる事が出来なかったからでもあった。
その妻が5年前に結婚したと聞いたのだ。
原口はもう諦めることしかできないと思っていた。
そんな時に五月女が現れたのだ。
原口は10日間で依頼された型紙を仕上げた。
1日休みがあったが、仕事は休まなかった。
原口は五月女に電話した。