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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十回・参】タリラリタララ

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授業終了のチャイムがやはり雑音混ざりで正月中学校の校舎内に鳴り響くと同時に二年三組の教室からは伸びとあくびそしてざわめきが聞こえはじめた
「…終った…んだっちゃ?」
二組の教室にいた緊那羅が椅子のがたがたという音を聞いてひょいと廊下に顔を出した
「…まだ誰も来ない…っちゃね…」
再び体を引っ込めて緊那羅は教室を見渡した
「…写真…」
「写真?」
「ぅわ;」
突然聞こえた京助の声に緊那羅が身構えたまま振り返った
「きょ…うすけ;」
顔の前で構えた手を下げて緊那羅が安堵の溜息をついた
「帰りのホームルームあるから先に玄関で待ってろ二組も帰ってくるし」
笑い声や雑談が廊下や教室から聞こえはじめる
「あ…うん…」
頷いた緊那羅が廊下に出た
「逆逆!!;」
「えっ;」
廊下に出たはいいが玄関とは逆方向に進もうとした緊那羅を京助が呼び止める
「こっちだっちゃ?;」
「こっちだっちゃ;」
緊那羅が振り返って方向を指差すと京助も真似をした
「校内で迷子になんなよな;」
「あははは;」
呆れる京助の横を緊那羅が苦笑いで通る

「…あ、ラムちゃん」
本間が緊那羅の姿を見て言うと阿部が顔を上げた
「…と栄野」
京助の名前をいいながら阿部を見る
「…何よ」
むすっとした阿部が本間を見返した
「別に?」
そんな阿部に本間がにこりと笑みを返す
「…別にアタシは…そりゃ…気になるけど…」
鞄に教科書一式を入れながら阿部がボソッと言う
「気にしなさい気にしなさい」
「ッ…!!;」
本間が頷きながら言うと阿部が顔を赤くした

「緊那羅は?」
席に戻ってきて教科書を机の上に一式出した京助に坂田が聞いた
「玄関で待ってるように言ってきた」
落ちたノートを拾いながら京助が答える
「やっぱ寝てたのか?」
鞄の止め具を止めて坂田がまた聞く
「突っ立って…写真がどうの言ってたん」
「しゃ……しん…ですか」
京助の返答を聞いた坂田がチラリと浜本を見た
「浜本」
椅子ごと移動して坂田が浜本の机の側にやってきた
「…お前まさかさっき二組にいたか?;」

ドサッ

浜本の耳元で坂田がボソボソ聞くと浜本が鞄を床に落した
「な…ッ;」
口をパクパクさせて慌てる浜本を見て坂田が額に指をついて溜息を吐いた
「…大当たりかよ;」
「なんで知ってんだよッ;」
小声だけど怒鳴っているようなカンジで浜本が坂田に聞く
「俺は何でも知っている」
坂田が胸をはって言うと浜本がうっと少し体を後ろにそらした
「一目惚れご苦労さん」
ポンポンと坂田が浜本の肩を叩いていると担任教師・通称ウニが教室に入ってきた
「緊那羅は男だっていっただろが;」
坂田がボソボソと浜本に耳打ちする
「信じられッか!; あんなキラキラした男がどこにいる!!」
浜本が小声で怒鳴った
「…何してんだお前ら;」
鞄を肩にかけた京助が坂田と浜本を上から見下ろした
「ありん?; 帰りのホームルームは?;」
坂田が苦笑いで京助を見上げた
「終ったぞ?;」
京助の言葉に坂田と浜本が周りを見回すと生徒達が帰れる嬉しさでキャッキャと話しながら教室を出て行っていた
「うっはー; 浦島太郎気分だねぇ浜本君!!」
坂田が椅子をがたがた言わせて自分の席に戻ると鞄を持って立ち上がった
「なぁ京助」
浜本が京助に声をかけた
「へいほ?」
京助が返事をする
「…やっぱいい」
少し間を開けて言った後浜本が立ち上がり歩き出した
「浜ちゃーん; 鞄忘れてっぞー;」
京助が浜本の鞄を手に浜本の後を追いかけると坂田もそれに続く