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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十回・参】タリラリタララ

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「矜羯羅様は私達をコッチに逃がして…」
「制多迦様は…」
慧光が言葉に詰まった先を鳥倶婆迦が言おうとして口を紡いだ
「タカちゃんとコンちゃん…どうしたの? ねぇ?」
悠助が慧喜に聞くと慧喜が思い切り悠助を抱きしめる
「…おいちゃんの計算では…矜羯羅様…空への扉を閉ざしてる…」
鳥倶婆迦が言った
「矜羯羅様の力で閉ざされた扉は私では開けられないナリ…慧喜でも鳥倶婆迦でも無理ナリ…」
慧光が俯いた

「…えーと…あのチョイ話をまとめていいか?;」
坂田が挙手した
「つまり何か? 【時】がどうの云々って事に何か気づいた矜羯羅が上だかにボコられるってことか?」
京助が言う
「タカちゃんは?」
中島が突っ込むと慧光が唇を噛んだ
「…制多迦…どうしたんだ?」
それに気づいた京助が慧光に聞く
「…アレは制多迦様じゃないよ慧光…」
慧喜が顔を上げた
「あんなの制多迦様じゃない…俺の好きな制多迦様じゃない…」
自分に言い聞かせるように慧喜が言う
「…何がなんだか;」
南がボソッと言った
「…私のことお忘れになっていませんこと?」
倒れて自分で起きられない夏の妖精がしばしの沈黙を破り私はここにいることを主張した
「迦楼羅様やけんちゃん様に頼めばよろしいのではないですこと?」
「おお! 今まで黙っていた分を取り返す勢いでいい提案を! ミス・ヒマ子!!」
坂田がぽんっと手を叩きヒマ子を起こした

「無理だね」
鳥倶婆迦がキッパリと言い切った
「無理…って」
鳥倶婆迦に視線が集まった
「もし迦楼羅や乾闥婆が来て矜羯羅様の閉めた扉を開けられたとしても…敵なんだよ? 空が受け入れると思う?」
鳥倶婆迦(うぐばか)が言う
「でも…じゃぁどうしたらえーねん;」
中島が言った
「おいちゃんの…計算…じゃ…わからないよ…」
ずるっと鼻水を啜る音がお面の下から聞こえた
「うぐちゃん…我慢してた?」
慧喜から離れた悠助が鳥倶婆迦の頭を撫でる
「お面被ってるから泣いてんだか笑ってんだかわかんねぇからなお前;」
側にいた坂田が鳥倶婆迦を自分の膝に座らせた
「どうしょう矜羯羅様が制多迦様が…っ」
ヒッヒッと泣きしゃっくりをし始めた鳥倶婆迦を見ていた悠助の目も潤んできた
「…ヤヴぁくないか?; このまま行くとアレだ…連鎖がはじまんぞ?;」

【解説しよう。この場合の連鎖とは一人が泣くことにより回りも次々つられて泣き出すという現象を現すのである】