【第十回・参】タリラリタララ
「うわ-----------------------んッ!!」
「お前がきたかッ!!;」
鳥倶婆迦でも悠助でもなく一番先に泣き始めた慧光に3馬鹿と京助が揃って突っ込む
「相変わらず泣き虫なんだな慧光…泣いても何も始まらないだろッ!」
ペンっと慧喜が慧光の頭を叩いた
「だってッ…矜羯羅様…ッ制多迦様…」
「今の泣き声な……に事何だっちゃ?;」
慧光の泣き声が聞こえたのか箸を持ったままの緊那羅が戸を開けて顔を出しそして部屋の中を見て状況把握しようとしている
「緊那羅様! 踏んでますわ踏んでますわ-----------ッ!!」
「うっわ; ヒマ子さん;」
ヒマ子の葉を踏んでいたらしくヒマ子が声を上げると緊那羅が慌てて足を退けた
「で…一体さっきの泣き声は…なんなんだっちゃ?」
ヒマ子を起こしつつ緊那羅が聞く
「そちらにいらっしゃるコロ助様のものですわ」
ヒマ子が慧光に葉を向けて答えた
「コロ助様…?;」
「慧光だよ緊那羅」
緊那羅が慧光を見ると慧喜が言う
「あ…そうなんだっちゃ?; …もしかしてまた京助達が何か…」
「ひっど------------い!!;」
緊那羅がジト目で京助達を見ると南が声を上げた
「俺らは逆に慰めてたんだぞ;」
京助がブーイングで緊那羅に言う
「慰め…? …本当一体何があったんだっちゃ?」
緊那羅が首をかしげた
「矜羯羅様が上に背いたんナリ」
慧光がボソッと言うと緊那羅がバッと慧光を見た
「そして…扉を閉めたナリ…」
「鼻水鼻水;」
顔を上げた慧光の両鼻から流れ出ていた鼻水を見た中島がティッシュを投げた
「矜羯羅様を…助けて欲しいナリ…ッ…」
中島が投げたティッシュを掴んで鼻と口に当てた慧光の目からまた涙が流れだす
「緊ちゃん…こんちゃん助けられれる?」
つられ泣きしていた悠助がうまく回らない口調で緊那羅を見上げた
「おいちゃんの計算では…ここにいるヤツ全員ででも…扉すら開けられないと思う」
坂田の膝の上で鳥倶婆迦が鼻を啜って言った
「助けて…ッ…」
畳に突っ伏した慧光の背中を慧喜が撫でる
「助けて…やりたいけど…さ…」
中島が苦い顔を京助に向けた
「…お前らにすらどうしょうもできないこと俺らには…」
南もやるせない悔い顔で俯くと部屋中が沈黙した
「…大丈夫だっちゃ」
慧光の隣にしゃがんだ緊那羅が小さく言った
「大丈夫って…緊那羅お前…」
緊那羅の言葉に目を丸くした慧喜に緊那羅がにっこり微笑んだ
「…ごめんね…制多迦…」
笑った口元にうっすらとにじんだ赤い血がゆっくりと顎を伝った
作品名:【第十回・参】タリラリタララ 作家名:島原あゆむ