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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十回・参】タリラリタララ

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お湯の中に昆布の入った鍋がクツクツと音を立てだした
「…ばかちょんカメラ…かぁ…」
右ポケットから使い捨てカメラを取り出した緊那羅が小さく呟いた
「思い出…か…」
カメラをそっと撫でた緊那羅がカメラをポケットにしまい側にあった箸に手を伸ばす
「……」
箸を持ったまま緊那羅が止まってそしてきゅっと唇を噛んだ

「はぁ?; マジで?;」
京助の部屋から京助の声がした
「あんなキラキラした男はいないと申しておられました」
坂田が柿の種を一つ放り投げてそれを見事口で受け止めた
「あれは本気だよ本気」
南も坂田を真似てやってみたが失敗して柿の種が落下したっぽい周りを探しながら言った
「ライバル出現京助君」
バンホーテンのココアをストローで吸いながら中島が言った
「あのな; …ってか…緊那羅は男だぞ; 正真正銘」
京助が中島を一発叩いた後呆れたように言った
「俺様もそういいましたが全くと言っていいほど信じてくれないんですよこれがまた」
坂田がお手上げポーズで溜息を吐く
「そりゃラムちゃん…あんなんだしねぇ…初めて見た姿が女子の制服を着たのってのもあるかもだけど」
南がこりず柿の種を放り投げまたも落して探しながら言った
「似合ってたもんな金名羊子~…女子まで女子と思ってるしな」
中島が言う
「宮津さんだっけ? あのホワホワした先輩とか阿部とか…」
坂田が湯気の立つ湯飲みに手を伸ばした
「でもま…別にいいんじゃねぇ? 緊那羅は緊那羅だしよ」
京助がズズっと湯飲みの中の茶を飲みながら言う
「そりゃそうだけど…浜本どうするよ」
ココアを飲み干した中島が今度は湯飲みに手を伸ばしながら突っ込む
「どうするっても…一発 緊那羅の裸でも見せろってのか?」
「キャー!! ヌード!!」
京助が言うと南が頬に両手を当てて身をよじった
「おもしろいから放っておくって手もある」
坂田が言うと一瞬部屋が静まり返り各々顔を見合わせたあと揃ってニヤリと笑った
「今日告白逃したみたいだし? また何か一騒動起こしてくださるような?」
中島がフフフと笑いながら言う
「一騒動どころか二騒動?」
京助が中島と同じような笑いを浮かべながら言った
「いや~新しいおもちゃができて嬉しいわ」
南がハッハと笑った
「しかも浜本 緊那羅が京助の彼女だと思ってるしな」
「は?;」
中島が言うと京助がちょっと待てというカンジで中島を見る
「浜本だけじゃないっしょ? たぶん」
「オイ;」
坂田がさらっと言うと京助が今度は坂田に目を移した
「だねぇ…真実を知る俺等にもどっからどう見てもカップルにしか見えないしねぇ」
南がウンウン頷いた後笑いながら京助を見た
「歌って戦って家事もできる彼女って最高じゃん京助! 男だけど」
「ちょっと待て;」
坂田がエセ爽やか笑顔で京助の肩をポンっと景気よく一回叩いた
「誰が誰の彼女ですって…?」
まるで井戸の底から搾り出すような声に一同が止まった