めいく どらま
我と来て遊べや親の無い雀
「ね、スズ。あのおじさんずっとこっちを見てるよ」
「おじさんってか、おじいさんじゃない?」
「何かくれるのかな、こっちへ来いって手招きしてるよ」
「何も持ってないみたいだけど」
「やさしそうにも見えるけど、何かあやしい」
「え? 変態? 私たちまだ成熟前なのにぃ」
「なんかアレが強そうだよ」
「何、アレって?」
「そんなこと決まってるんじゃない。私たちにとって危険なアレとは」
「アレとは?」
「食欲よ」
「えーっ! こわーい!」
「あまり近寄らないほうがいいね」
「うん、いつでも逃げられるようにしてなきゃね」
「あれっ、紙を取り出して、何か書いてるみたいだよ」
一茶は、二羽の雀を眺めながら一句書きとめた。
――我と来て遊べや親の無い雀――