2006-2010 詩集Ⅰ『あさ』
20.
また 君の夢を見たよ
ひょっこり帰ってきた君を見て
私は また 安堵の息を漏らす
ああ やっぱり と
間違いだったんだ
君はこうして 生きていたんだ と
そして金色の眼で 私を見上げるんだ
まだ慣れない
目覚めた後の、あの寂しさ
夢は夢でしかないと
気づいたあの瞬間の
夜中に、鳴き声がした気がして
入れてあげなきゃと
一瞬でも考えてしまう自分が嫌だ
あのつやつやの毛並みを
この掌が覚えている
あの控えめな鳴き声を
この耳が憶えている
また、鈴の音を聞いた気がした
そしてまた、目覚めた後の切なさを
もう会えないのだと分かっていながら
理解できない自分が嫌だ
今日も
足元を過ぎる影が
君だと疑わない私がいます
『January 06, 2007 -- 夢のあと』
作品名:2006-2010 詩集Ⅰ『あさ』 作家名:篠宮あさと