舞うが如く 第三章 16~17
舞うが如く 第三章
(17)池田屋のその後
半隊を率いて長州藩士や土佐藩士らが頻繁に出入りしていた
料理屋・丹虎方面を探索していた土方が、
誰も見当たらないのを確かめると、
すぐさま池田屋の応援に駆けつけました。
しかしただちに突入はせずに、
まずは池田屋の周囲を隊士たちで固めました。
後から駆けつけてきた会津藩や桑名藩の兵を池田屋には入れず、
新撰組の手柄を守ることに専念したのです。
まだ幕府の中でも立場の弱い新撰組のことを考えての行動で、
天下に新撰組の勇名を轟かせるための、
土方の冷静な機転でした。
討ち入り開始から約一刻(2時間)の後に、
池田屋での捜査は終了しました。
池田屋に残された遺体の中には、宮部鼎蔵らの重要人物の姿もあり、
他にもさらに6名が惨殺されました。
捜査が終わるころには、
池田屋の周辺には、数百人の会津藩士らが駆けつけてきました。
さらに同じく、騒ぎを聴きつけた野次馬たちであふれかえります。
池田屋屋内からは重傷の籐堂が運び出され、
裏庭からは奥澤・新田・安藤がそれぞれ隊士たちによって、
祇園会所へと運びこまれます。
琴と土方に付き添われた青い顔のままの沖田も、
祇園会所で再び横たわりました。
作品名:舞うが如く 第三章 16~17 作家名:落合順平