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舞うが如く 第三章 16~17

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 池田屋屋内の捜査を終えた隊士たちは、
休む間もなく、会津藩兵とともに池田屋から逃亡した浪士たちの探索と、
京の町に残存する不逞浪士たちの掃討のために
さらに作戦行動を展開します。



 浪士掃討は翌朝の九時近くまでで終了しました。
不逞浪士の七名が死亡して、二〇名余りが捕縛されて
「池田屋事件」が終了しました。
祇園会所で隊士をまとめた近藤は、昼近くになってから隊伍を組み、
意気揚々と壬生の屯所へと凱旋をはじめました。



 先頭を歩いたのは沖田総司で、真っ青な顔のまま、左右から
土方と琴の介添えを受けての行進でした。
一番の活躍を見せた永倉は、右手に曲がってしまった刀を下げて、
左手には応急手当の手ぬぐいから血が滲んだままでした。



 傷つきながらも晴れがましく歩く新撰組の姿は、
あたかも吉良邸討ち入りを成功させた、
赤穂浪士の姿を彷彿とさせるものでした。
 街道に居並ぶ人たちからも賞賛の声が飛び交いました。
この凱旋する姿を見せたことが、のちに新撰組を、
歴史の表舞台に登場させるその重要なきっかけとなりました。




 新撰組が凱旋した翌7日、会津藩から500両、
さらに8月4日には幕府から600両もの大金が
報奨金として下されました。



 この事件の四日後に、
池田屋事件が長州に報ぜられました。


 池田屋事件の発端となった「八月一八日の政変」以来、
収まることの無かった長州藩の怒りが、
多くの同士が惨殺され、捕縛されたことを聴きおよぶにつけ、
ついに、その頂点にと達します。



 そしてそのわずか10日後に、長州藩が動き始めました。
京都に向けて進軍を開始して、
7月19日には幕府と長州勢が衝突をします。
世に言う「禁門の変」の勃発でした。



第三章・完